スパイラル+短編

□星色の物語
1ページ/5ページ



それは、いつの世か
それは、何処の世か





アイズ・ラザフォードと鳴海歩という名の少年たちがいた。


二人は大変仲睦まじく、
常に共にあった。
とても理想的な恋人たちであった。


しかし、それを快く思わない者たちがいた。

二人の名を、カノン・ヒルベルトと鳴海清隆といった。


「また歩はあいつのもとへ向かったか……」

深いため息を吐き出しぼやく清隆。

「アイズは僕のだったのになぁ」

卓に突っ伏し、不機嫌さを隠そうともしないカノン。

「……なぁ、カノン・ヒルベルト。協定を結ばないか?」
「協定……?ふーん……二人を引き離すつもりかい?」
「その通り。結ぶかな?」
「……勿論」

二人が不敵な笑みを浮かべて話を勧めているとはつゆ知らず。

件の二人は楽しいひと時を過ごしていた。

「……おい、ラザフォード」
「…………」
「読みづらいんだが」

木陰に腰を下ろし、本を読む歩。
その後ろには、アイズがぴたりとくっついている。

「おい、ラザ……」

再度呼びかけている途中、先日言われたことを思い出す。

「……アイズ」

頬を赤く染めながら、恋人の名前を呼べば、肩の重みが消えた。

「やっと呼んだか」
「うるさい、結構照れるんだぞ」

睨みつけようと振り返れば、其処には幸せそうな笑顔が輝いていて。

こっちまでつられてしまいそうだった。







「あんな笑顔、僕には見せない癖に……!」
「……作戦開始だ」

悔しそうに物陰から見ていた二人。
半べそに泣きながら、動きだしたのであった。






次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ