■天上の海・掌中の星 4

□どっちも大事
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何と言っても今現在は、
ロシアのソチにて開催中の
冬季五輪がたけなわで。

大雪でJRが止まりまくったその影響で、
生徒たちは元より、
先生たちも結構な人数が
登校出来なくなったので。
次の週から
期末考査が始まることも考慮して
とかどうとかいう、
休校のメールが届いたのが金曜日。
世間様では
聖バレンタインデーでもあったため、
きゃーいやーという声なき声も
あちこちで立ってたそうだけど。

 「贅沢言ってちゃいけない。
  里が丸ごと
  孤立しちゃったトコもあるんだから。」

コンビニやスーパーの棚から
パンとか豆腐もなくなったって言うしよと、
休みになった分、
毎度の食事のおりに
テレビを観れているお影様、
時事にも
ちょっとは詳しくなったルフィさん。
雪って怖ぇーよな、
慣れてないとこに降ると
屋根まで落ちるしよと、
一丁前なご意見まで
出ていた進歩ぶりだったものの。

 「それよか。」

朝も早よから、
こんがりチーズとチキンライスが香ばしい、
焼きたてドリアを ほれと出してやり。
相変わらずにまとまりの悪い、
あちこち跳ねまくりの髪を、
大きな手でしゃりと撫でてやりつつ、

 「お前、夜更かししてんのは
  試験勉強じゃなくて
  オリンピック観ててだろうに。」

 「おお、何で知ってんだ?」

昨夜はゾロ、
夜中にこそーって出てったくせにと、
事情を知らずに聞く人がいたれば、
“夜遊び?”と
微妙なお顔をされそうな
物言いをする坊ちゃんなのへ、

 「…そうやって出掛けたのに気づいてて、
  なのに後追いせんかったし。」

 「うん。チョッパーが来てたしな。」

別に用なんてないんだけど、
あのそのなんだ、
ちょっと顔を見たくなって
なんて言ってたけど、
夜中の11時にそれはないだろうと。
可愛い奴だよなぁと
笑ったのはともかくとして、

 「昨夜と言えば、」
 「ショートトラックとアルペンっ!」

おーと拳を
元気よく突き上げる坊っちゃんなのへ。
おら、やっぱりじゃねぇかと、
それでなくともおっかない顔付きで、
ますますと棘々しい渋面を作る
ゾロさんだったりし。

 「今更
  成績への影響とかどうとかへ
  尻を叩く気はねぇが。」

それはどうでもいいと断言する、
ある意味 それもどうかという
発言を厭わぬ問題保護者様、

 「足元が危なかった月曜とか、
  寝不足のフラフラで
  出歩いてんじゃねぇっての。」

 「でもよ〜。」

そうかそっちがまずは心配か、
間違ってはないけど
それって世間一般じゃあ通用しねぇぜと。
これだから剣術馬鹿は
救いようがないとかどうとか、
ちょっぴり頭上の空中から見下ろしつつ、
肩をすくめていた聖封様の方だって、

 「だからな、ルフィ。
  寝不足の朝ってのは、
  日頃以上に胃が動かねぇもんだ。」

いっそ夜食にガッツのつくもんを喰って、
朝飯はうどんとかにゅうめんとか、
胃に優しいものを…と、
やっぱり何だか
順番がおかしい注意を授ける
こっちのお兄さんもいい勝負。
ルフィさん、
大学は柔道の推薦で進学予定だそうだけど、
それでも勉強は大事なんだよ?
点数はともかく、好奇心の育て方とか、
判らないことの調べ方とか、
そういう基本は
身につけとかんといけないよ?

 「おうっ、
  頑張って
  物知りなダチをゲットするせっ。」

 「おお、頑張れな。」

 「お前、人への当たりは良いから
  問題ないって。」

黙れ、ややこしい保護者たちっ!




     〜Fine〜  14.02.19.






恐らくは、
シャンクス父さんも、
エース兄も
似たようなことを
言うと思われます。
Dの一族の“D”って
“どんぶり勘定”のDなのか?



 

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