■天上の海・掌中の星 4

□こんなプレゼントもあり?
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世間様がクリスマス一色に染まり、
イルミネーションに沸き、
パーティーで弾け、
恋人たちがムーディに寄り添い合う
2日間が通り過ぎ。
暖冬予報はどこへやら、
寒い寒い極寒仕様で
年末年始がやってくるぞと
天気予報士の皆様が
口をそろえている今日このごろ。

 「まま、ウチでは
  チョッパーの誕生日が
  優先だったけどもなvv」

 「えへへぇ、
  照れるだろうが、このヤロがっ!」

それは立派なケーキも食べたし、
天界屈指の名シェフと
そんな彼から…
お互いにどこか不本意かもだが、
手づから教えを受けている
いいお弟子との手になるそれ、
そりゃあ豪華なお料理も
これでもかと供されたので、
主賓のトナカイさんと、
今年もまた
大わんこと猫のお友達もやって来て、
結果 たいそう満足な祝宴と
相なってたようで。

 「次は年越しだな。」
 「おうっ。」

祝宴で多少は散らかったのの
お片付けを済ませ、
お次ぎは…とルフィが取り掛かったのが
リビングから庭へと向いた
掃き出し窓を磨くお役目。
さすがにもう
上のほうへも届く背丈になっているが、
それでも 丁寧かというと
やや怪しいものかもしれないと。
床からぴょいと大した跳躍で
肩先へまで飛び上がって乗っかった、
小さな直立トナカイさんが、
つぶらな瞳で隅から隅まで点検して見せ、

 「よしっ、きれいに磨け…あ、
  ここ泡が残ってるぞ。」

 「おおう。」

クリーナーの拭き残し、
指摘へ慌ててちょちょいと拭って。
今度こその完成を、
よっしゃと笑顔で見回しておれば、

 「掃除だってのに、
  何だ そのおめかしはよ。」

いつの間に来たものか、
同じリビングに唐突に現れた痩躯の君の声へ、

 「おお、サンジ。」
 「わっ、サンジだ。」

驚かすつもりはなかったか、
余裕の片手で掲げ持ってた
大きなトレイをほれとご披露し、
休憩しなよとリビングセットまで、
二人の坊やを来い来いと
いざなう手際は慣れたもの。

 「ゾロはどうした。」
 「買い出しだ、黒まめ忘れてたって。」

わざわざ聞いたのは
家の中にも気配がなかったからで、
他の部屋にいるなら
姿が見えずとも判るらしいのが、
彼らが特別な存在たるゆえん。

 “いや、そんなことだけで
  説明されても何ですが。”

まあまあ、
いちいち気になさらずに。(苦笑)
そこはいい子で手を洗って来てから
いっただきまーすと
ふかふかのピタに挟まれた
オムレツや三枚肉の甘辛煮込み、
美味しい美味しいと
頬張るチビさんたちなのへ、

 「まさかに
  掃除のユニフォームか? それ。」

日頃はトレーナーやTシャツに
木綿のパンツといった、
ざっくりした
動きやすいカッコのルフィさんが、
今日はちょっぴり気の利いた
いで立ちをしておいで。
色味も淡いラベンダーなら、
襟が二重になってるシャツに、
重ねたVネックのセーターも
襟や裾の縁取りが
変わり編みになってる凝ったもの。
指摘をされて、
いやそんなじゃねってとクスクスと笑い、

 「ばあちゃんが
  クリスマスだからって
  送って来たんだ。」

 「ばあちゃ……
  あの美魔女様かっ!!」

そうかいそうかいと流しかけ、
素晴らしい反射で台詞の二度見。
さすがは天界随一のフェミニストで、
最近になってお顔を出した、
こちら、
ルフィ坊ちゃんの母方の祖母様の存在は、
そうそう簡単に
忘れられるものではないらしく。

 “…まあなあ、
  俺にとっても
  自慢のばあちゃんだかんなぁvv”

優しいし気高さってのがあって綺麗だし、
それでいて、
すぐに赤くなるのが可愛いし…と。
いろんな意味から桁外れの存在なところは
置いといてになってる辺りが…
いかにも身内の見解。
世界に名だたる巨大な商社
“アマゾンリリー”のCEOで。
高校生のルフィのみならず、
その上に もちょっと年嵩の
エースもいるこの兄弟の祖母だというに、
豊かな肉感に満ちた蠱惑の肢体と、
花も恥じらい光が集まる、
そんな瑞々しき美貌は、
どんな冷酷辣腕な仕儀を
ざくざくと振るうても、
余裕でカモフラージュ出来るだろう
卓越したそれであり。
ずば抜けた慧眼で振るわれる英断は、
どんな難局をも鮮やかに乗り越えて来た、
間違いのないもの。
どの冴えをそのまま形にしたような、
されど笑えば花のように艶麗な顔容には
各国の要人たちさえ
容易に骨抜きになるとかで。
嫋やかではあるが決して媚びたりはせぬ、
その気高さは同性からも慕われておいでで、

 とはいえ

 『ルフィにだけは
  ハンコック様のほうから
  骨抜きなんだものねvv』

傍づきの少女マーガレットが、
そこだけは弱点かもねと
冗談交じりに笑ってた。
そんな祖母様からの贈り物だというが、

 「そんな大変なものを
  普段に着てていいのか? それに…。」

そういや、そんな贈り物なんて、
これまでのクリスマスにも届いていたかと。
もーりんへの
いやんな質問を仕掛かった
サンジさんだったけれど、

 「山ほど送って来たその上に、
  1つ1つを着て写真を送れって
  言われてっからな。」

だから、実は昨夜っから
ファッションショーみたいに
着替えまくってたし、

 「これはまだ大人しめのだから
  普段着にするんだ。」
 「…そうなんだ。」

他のは一体どんななんだかと、
怖いもの見たさで聞きたくなったが、(笑)
それも何とか押し込めつつ、

 「山ほど?」

さすがは大きな商社の
CEOとやらだからか?
でもなあ、
ああいう人はその辺もわきまえてないかと、
無粋な山盛りという贈り物と
あの高貴な女帝様とがつながらないらしい
怪訝そうなお顔をしたのへは、

 「おうよ、
  片付け物を増やす嫌がらせかと
  思ったほどにな。」

 「あ、
  そんな言い方すんなよな、
  ゾロ。」

お節の準備に要りような買い足しに
出掛けていた緑頭の破邪様が帰宅をし、
どこから聞いてたものなやら、
こっちの話へ加わって。
それへと非難を返した
坊ちゃんが付け足したのが、

 「何かサ、マーガレットに言わすと
  殿様が猫舌になる
  理屈みたいなもんなんだって。」

 「何だそりゃ。」

殿様ってのは王様のことだよなと、
まずはそこを確かめたサンジだったのへ、

 「うん。」

こっくりと素直に頷いてから、
殿様は毒味役が
吟味したものしか食えないだろう?と続け、

 「ばあちゃんはサ、
  俺が喜ぶんじゃないかって思うものを
  日頃からも取り寄せては
  溜めてるそうなんだけど。
  いざ送ろうってなる手前で、
  品は良いものかセンスはどうだってのを
  そりゃあ念入りに吟味するんだと。」

それでなくとも忙しい身のCEO様なので、
スケジュールも分刻み、
プライベートな時間は限られており。
取り寄せたはいいが、
流行が一過性で吟味を待つうち
外してしまってたり、
こそりと調べてあった
ルフィの側の背丈が伸びてたりと、
何やかやで不具合が生じては、
没となった品も数多く。
その結果、これでは足りぬと補填したら、
またそれへの吟味が要って、

 「そんなこんなで、
  ホントに送ってくるのに
  何年かかかってしまうんだってvv」

 「それはまた……。」

選ぶときも泣く泣く没としてしまうときも、
仕事上の英断では見せないくらいの、
躊躇や煩悶にうんうんと唸っているとかで。

 「ああ、ああ、判った。
  お前さんは
  そんだけ愛されてんだよな。」

けったくそ悪いなぁと
口許歪めて新しいたばこへ
火を点けかかったサンジだが、
それへとキョロキョロ
視線を泳がせたルフィさん。
特に反応は残さずにキッチンへ戻った
ゾロの大きな背中を見送ると、
サンジのダークスーツの袖を引いて、

 「そゆこと言うと
  ゾロが機嫌悪くすっからダメだぞ、
  サンジ。」

 「………おや。」

意外や意外、
そういう機微も
拾えるようになってようとは。
水色の眸が
不覚にも動きを止めてしまったほど、
おやおやと驚いてしまった聖封様だったのは、
ここだけのお話ということでvv





     〜Fine〜  14.12.27.






ハンコック様には妹様も二人いて、
それぞれに
アメリカ本社と欧州本社という
二大拠点を任されておいで。
しかも此処が恐ろしいのは、
やはり美魔女で
年齢不詳で通ってるところだとか。

 「そっか、
  お前が妙に童顔なのは母方の血か。」

 「妙にってのはなんだ、
  妙にってのは。」

それはともかく、
PCがとんでもない方向で
機嫌を損ねておりまして、
とうとうというべき事態かも知れぬと
ドキドキしてもおります。
あと、何か書く時間が減ったのが
痛いよぉ〜〜。
こんなどしようもない奴ですが、
どうかお見捨てなくよろしくです。



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