■天上の海・掌中の星 4

□当家の事情
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卒業式云々という話を出したのは、
ルフィさん曰く、

 「ウチのガッコ、
  今年の卒業式は
  3月14日なんだよな。」

 「おお。」

言わずもがな、
ホワイトデーと重なってるらしいからで。

 大量にもらっちまった男子は
 出たかねぇかもな。

 何の、部の後輩から
 連名でもらったクチは、
 同じ手で
 送別会の場で返すらしいから
 手間取らないって話だぞ?と。

そういう浮いた話が
お好きらしいサンジさんへ、
去年の先輩から聞いた話を
教えて差し上げたルフィだが。
ほれとテーブルに置かれたトレイに
これでもかと天こ盛りにされた
カレーパンへ拍手を送りつつ、

 「つか、義理チョコは
  いちいち返さなくても
  いいんじゃねぇの?」

色恋沙汰には縁がないタイプな割に、
お祭り小僧で目立つからか、
中学生時代どころか、
小学生高学年辺りから既に、
義理チョコは毎年
大量にいただくクチのルフィさん。
昨年だったか、
いかにも本命風のをもらったのへは、
さすがに“旨かった”という
言葉添えをしたらしいが、
そんな彼女へも含めて みんな平等に、
フィンガーチョコ2本ずつを
リボンでくくったの、
はいこれvvと片っ端から
配って回るのが恒例なのだとか。
揚げたてアツアツも何のその、
何度もふうふうと頑張って吹き冷まし、
美味しそうなカレーパン、
最初の一個へ
ガブチョと齧ったそんな間合いへ。
こちらは丁度いい飲み頃に
冷ましたお茶を持って来た、
大きな手と緑頭の破邪様が
付け足した一言が、

 「今年こそ
  “立て結び”は返上な。」

 「う〜〜。//////」

何とも子供っぽい“お返し”だが、
これが不思議と、
期待外れだと怒られたことはないらしく、

 「相手もこっちの懐ろ具合くらいは
  判ってるんだろしな。」

 「だろうよな。」

まだ学生だしと、
そういう意味からのお返事をした
金髪の聖封様だったが、

 「50人からもらったら、
  チロルチョコでも千円突破だもんよ。」

と、応じたそのまま、
それでなくとも、
仮の保護者から
無駄遣いにはチェックの入る身、
何だその菓子の山はと、
没収されるわ怒られるわするのも
面白くないしと、
早くも4つ目を頬張りつつ、
意外な話を続けるルフィだったので、

 「何なに、そんなことあったのか?」

紙巻きに火を点けるのも後回し、
サンジが何だそりゃと
面白そうに身を乗り出せば、

 「うん。
  あ、サンジには
  言ってねぇの、ゾロ?」

 「〜〜〜〜。///////」

思わぬ頃に掘り返しやがってよと、
すっかり忘れた振りしてたよな、
昔の代物だったらしく。

 何だそれ、もしかして確信犯?
 お返しと判ってて朴念仁ぶったとか?

 うっせぇなっ。////////

選りにも選ってな相手からの
言いたい放題へ、
天下無敵に怖いもの知らずのはずが、
何とも渋いお顔となる始末。

 「まあまあ食え食え。」

珍しくもルフィから勧められた
カレーパンをむしゃりと頬張り、
不機嫌そうなお顔を保ちつつ、

 “…ま、今年も同じ
  義理チョコ返しみてぇだし。”

何とはなくのことながら、
得られた情報にこそりと安堵。
だからどうというのは、
見ない振りの破邪殿なのも、
きっときっと、間近いはずの春のせい。
暖かくなったり、
急に冷え込みが戻ったり、
何とも落ち着きのない
頃合いではありますが。
それもいっそ思い出に織り込んで、
桜の花咲く門出のころを、
のほのほと待とうじゃございませんか…。





     〜Fine〜  14.03.10.






実際の話、どうなんでしょか。
まま、明らかに義理チョコの場合は
見返り求めるなんて
図々しいのかもでしょうけれど。
でも、贈る側だって
結構な出費なんですがねぇ。
でもでも、
大人気のアイドル級な人からの
お返しだったら、
たとえチロルでも、
包み紙取っとくレベルの宝物かも?
(調子良い?・笑)

そういう人間世界の
習わしの話は置くとして、

「キュウゾウ、
 そういやずっと留守だったよな。」

【 にゃうみゅ、みぃ。】

「えー、
 温泉行ってたんか、良いなぁvv
 キュウゾウもクロも、
 お湯は怖くないのか?」

【 みゃんにゃvv】
【 にゃあにゃvv】

「そっかぁ、偉い偉いvv」

何で通じるものなのか、
相変わらずです、ネコ使いvv



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