■天上の海・掌中の星 5

□○○には魔物が棲む
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この初夏にロシアで開催中のサッカーW杯は、なんかちょっと様子が訝しいそうで。
前回王者のドイツが予選敗退、ブラジルやアルゼンチンも危うい勝ち進み方であり、

「アルゼンチンなんて、結果1勝しかしてねぇんだ。
 同じリーグの他のチームも混迷してたんで救われたっつうか。」

そういや前の前の大会だったかでは、
日本が一敗しかしてないのに予選敗退したもんな、籤運って大事だよなと、
小ぶりの丼サイズのお茶碗によそわれた白米を掻き込みながら、
それでもちゃんと聞こえる滑舌でそんなお説を並べておいで。

「普段はそれほどサッカー大好きって風でもねぇのにな。」
「う〜ん、そうかな。でもニワカじゃねぇぞ?」

小首を傾げる坊ちゃんなのへ、ほれお代わりと大きな手が伸びる。
まるでどこぞかのハムスターのように
頬を光らせるほどパンパンに膨らませている当家の坊ちゃんは
今日も今日とて絶好調なご様子で。
グリーンアスパラのベーコン巻きにハムエッグ、
豆腐とねぎの味噌汁にキュウリの浅漬けと、
昨夜の残りのレンコンとごぼうのきんぴらという朝ごはんを
もっきゅもっきゅと豪快に食べつつも
時計代わりのモーニングショーの話題にも耳を傾けており。
サッカーの話題から離れて今日のお天気のコーナーへなだれ込んだことで
今週のお天気の表からゾロがふと思い起こしたのが、

「そういや、そろそろ期末テストじゃあないのか?」
「うん。七月入ったらすぐらしい。」
「…らしい?」

これはおかずとしてはノーカウントの(?) しそ昆布とつぼ漬けを
交互にご飯に乗っけてもくもく頬張る合間に返って来た応じ、
何だか妙な言い回しじゃあないか? それと、
帆布のエプロン掛けた、ごっつい図体の主夫殿が首を傾げれば、
お味噌汁で口の中のご飯を ンっンンと飲み込んでから、

「先生方も試合観てるらしくってさ。
 だから、日本戦があった日は俺らがどれほど使い物にならないかも判るくて。」
「…なんだそりゃ。」

判るというのは我が身と同じという意味で“判る”のだろうか。
だとしたらあんまり威張れぬぞと、ごつい眉をしかめたゾロだったのに気づかぬまま、

「日本チームが決勝トーナメントへ進むかもって気配になってきた辺りから、
 試験期間を三日とか四日とかに縮めようか、
 いやいやいっそ全員夏休み初盤に補修モードで受けさせるとかなんて、
 とんでもない画策してるらしい。」

って黒須せんせえがゆってたと、
嬉しい秘め事みたいに“内緒な♪”と笑ったルフィさんは至って可愛らしかったが、

 “止めろよ、師匠。”

坊やの学校の物理教師に転生していたかつての育ての親御へ、
おいおいおいと胸のうちにてツッコミ入れた破邪殿だったようでございます。


  頑張れ、ニッポン!



  〜Fine〜  18.06.28.





 *ワールドツアーでは連戦連勝なのに、五輪では表彰台にすら登れないとか、
  世界大会では前人未到の何十連勝していても五輪では金メダルが取れないとか、
  実力は申し分ないのにそういうことってあるように、
  今回のW杯は波乱の連続ですよね…というタイトルでした。

  相変わらず日記みたいな短さですいません。
  私もまた、月曜に全く使い物にならんかった いけない大人です。
  開始時間が夜中なのは時差があるんだからしょうがないとはいえ、
  試合終わっても興奮して寝られなかったというのを失念していたぞ。
  明日はどんな日になるやら、
  とりあえず今日は昼寝した方がいいのかな?(自宅就労者の強み)




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