【My treasures】

□夏祭り
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芳准「ゆっきゅん、まだなのだぁ〜?」

ゆっきゅん「ん〜……もう少し」

芳准「だぁ〜。女の子は時間が掛かるのだ」

ゆっきゅん「だって……」


扉越しにゆっきゅんと芳准の会話が行き交う。


芳准「オイラはリビングで待ってるのだ」


芳准はゆっきゅんに告げると、リビングに行き、ソファーに座りテレビをつけた。
特に見る訳でもないが、ただ待っているのも退屈なものだ。
ぼんやりと気が抜ける。
芳准は時計をチラッと見ながら呟いた。


芳准「どうして女の子は用意に時間が掛かるのだぁ?」

ゆっきゅん「それなら、どうして男の人は用意が早いのか!?って聞きたいんだけど?」


ぼんやりとしていた芳准は、後ろからの声にビックリした。


芳准「………だ!!」

ゆっきゅん「あれ?ビックリした?」

芳准「だぁ‥ビックリしたのだ」

ゆっきゅん「ボケーッ、っとしてたもんね」

芳准「それは……」

ゆっきゅん「ん?」


上から聞きたそうに覗いてくるゆっきゅんに、暇だから。と言えず苦笑した。
ゆっきゅんは芳准から何か返事が返って来るのを待っている様子だった。
それを見て芳准は、何か答えないと納得しないだろうと、テレビを消し、腰を揚げると、ゆっきゅんのいる方向に身体を向け話し掛けた。


芳准「だぁ〜。ゆっきゅんの支度が……」


芳准は、ゆっきゅんの姿を見て言葉をとめた。


ゆっきゅん「……ん?どうしたの?」

芳准「だ!可愛いのだ!」

ゆっきゅん「な‥ぁ……」

芳准「うん。これなら待ったカイがあるのだ!」


芳准はゆっきゅんの浴衣姿を見て先程までの不満が消えていた。
ゆっきゅんは何か違う気はしたが、芳准の笑顔に聞き返す事はしなかった。


ゆっきゅん「芳准もカッコイイ!」

芳准「だ‥ぁ。慣れない格好は意外に恥ずかしいのだ」


芳准は自分の浴衣姿を見て照れながら話した。


ゆっきゅん「せっかくの夏祭りだもん!芳准も浴衣、着ないとね」

芳准「オイラは普段着でも良かったのだが……」

ゆっきゅん「それだと、私が楽しくないもん!」


ゆっきゅんは芳准の腕に掴まり、笑いかけた。
普段から見ている笑顔なのだが、何時もと違う格好のせいか、芳准は胸が高鳴るのを感じた。


ゆっきゅん「あれ?芳准、顔、あかいよ?」

芳准「……だ!?」

ゆっきゅん「大丈夫?」

芳准「大丈夫なのだ!それよりも早くいかないと……」

ゆっきゅん「あ!出店が!」

芳准「…だ?出店?」

ゆっきゅん「………あれ?」


お互いに考えている事が違ったのか、話しが噛み合わなかった。
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