【My treasures】

□クリスマスプレゼント
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今宵はクリスマス。
久々に会う約束をしているのだが……。
肝心の彼はまだ来ない。


ゆっきゅん「……はぁ」


遅刻などした事のない彼に、何かあったのかと不安になる。
連絡をとるにも……。


ゆっきゅん「今時、携帯を持ってないとか……有り得ない」


携帯片手に溜め息が出る。
出て来る息の白さが、余計に寒さを感じさせる。
周りを見渡せば、何だか温かそうな人達ばかりで……。


ゆっきゅん「もうっ!帰っちゃうぞ!!」


誰に言う訳でもなく、ただ声に出した。
そんな言葉に、後ろから聞き覚えのある声で、返事が返ってくる。


井宿「それはオイラが困るのだ」


あぁ、やっとお出ましか……。
何か、文句の一つでも言ってやろうか?
憎まれ口ぐらいなら……。
後ろを振り返ろうとするより先に、井宿のマフラーが首元に巻き付いた。


井宿「すっかり冷え切って……本当に済まなかった」


後ろから抱きしめてくる事に、恥ずかしさはあったが、何よりも温もりがあって……。
さっきまでの思いを吹き飛ばせれるんだから、憎めない。
それでも文句は言いたい訳で。
上を向き、井宿の顔を見ながら本音を吐いた。


ゆっきゅん「もうっ、井宿!いい加減、携帯持って!」

井宿「……ぅ、オイラ、どうも苦手で……」


井宿は困惑した表情で、ゆっきゅんを見下ろしていた。
困らせる事はしたくないが、何が苦手なのかは気になるなもの。
そこはしっかりと聞いておくべきだと、ゆっきゅんは井宿に質問した。


ゆっきゅん「ね、井宿?」

井宿「……だ?」

ゆっきゅん「携帯が苦手な理由は?」

井宿「…………」


その質問に、井宿の表情は険しくなった。
ゆっきゅんに引っ付いていた井宿は離れると、何故か不機嫌そうに尋ねてきた。


井宿「そんなに携帯が必要なのだ?」

ゆっきゅん「何、怒ってるかなぁ?」

井宿「別に、怒ってなど……」

ゆっきゅん「だったら理由、聞かせてよ」

井宿「………はぁ」


井宿は溜め息を吐きながら、頭をかいた。
こちらが理由を言うまで聞いてくるだろう。
寒空の中、待たされたのだ。
言いたい事は解らないでもない。
納得させる為にも、井宿は理由を言う事にした。
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