【My treasures】
□酔い心地
1ページ/4ページ
「あー、美味し…」
頬を染めて満足げに笑うゆっきゅんの隣で、井宿は自身の杯を傾けながら僅かに苦笑を洩らした。
久々に市街へ連れ出したお陰で気分が良くなっているのだろうか、さっきから少し飲み過ぎているような…そんな事を思いながら。
「んー…。井宿、ちゃんと飲んでる?」
「だっ、飲んでるのだ…でもゆっきゅんはそろそろ止めた方が良いのでは…」
「あはは、平気平気っ!井宿と一緒ならべろんべろんになったって怖くない!」
酒場で、いくらか人もいるというのに肩へとしなだれかかってくる彼女。
こんな姿は、滅多に見られないのだが。
「それ、甘いから飲み過ぎないようにするのだ…」
「うん」
まぁ悪くないかと思い、監視しつつもしばらく好きなように飲ませる事に決めた。
悪酔いしないのは知っているし…最悪、担いで帰ればいいのだ。
「…ねぇ井宿ぃ」
ぽつりと呟いた彼女に目を向ければ、酒のせいで潤んだ瞳が見上げてくる。
「どーしたのだ?」
「私の事、好きぃ?」
「だ…っ、いきなり何言い出すのだ…!」
クスクスと笑うゆっきゅん。
本当に、どうしたのやら。