【My treasures】

□酔い心地
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「あー、美味し…」

頬を染めて満足げに笑うゆっきゅんの隣で、井宿は自身の杯を傾けながら僅かに苦笑を洩らした。

久々に市街へ連れ出したお陰で気分が良くなっているのだろうか、さっきから少し飲み過ぎているような…そんな事を思いながら。

「んー…。井宿、ちゃんと飲んでる?」

「だっ、飲んでるのだ…でもゆっきゅんはそろそろ止めた方が良いのでは…」

「あはは、平気平気っ!井宿と一緒ならべろんべろんになったって怖くない!」

酒場で、いくらか人もいるというのに肩へとしなだれかかってくる彼女。

こんな姿は、滅多に見られないのだが。

「それ、甘いから飲み過ぎないようにするのだ…」

「うん」

まぁ悪くないかと思い、監視しつつもしばらく好きなように飲ませる事に決めた。

悪酔いしないのは知っているし…最悪、担いで帰ればいいのだ。

「…ねぇ井宿ぃ」

ぽつりと呟いた彼女に目を向ければ、酒のせいで潤んだ瞳が見上げてくる。

「どーしたのだ?」

「私の事、好きぃ?」

「だ…っ、いきなり何言い出すのだ…!」

クスクスと笑うゆっきゅん。

本当に、どうしたのやら。
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