短編

□クリスマスプレゼント
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「うーん、どっちがいいかなぁ〜?ねぇ?つぐみさんは、どう思う?」

『美朱の好きにしたら?』

「えぇー、そんな事言わずに一緒に選んでよぉ〜!つぐみさんっ!」

人ごみで賑わうショッピングモールに美朱とつぐみが二人で肩を並べ、買い物に来ていた。
―と言うよりも美朱の買い物に付き合わされているつぐみ。

もうすぐ、クリスマス――

なんとなく、手編み風なマフラーを選ぶ美朱。
魏へのクリスマスプレゼント――

当初は、手編みのマフラーをと考えていた美朱。
――が、しかし、つぐみが教えてあげたのにも関わらず、途中で断念し、
結局、今日、買う事にしたのだった。

『美朱?早く、選んで』

「待って!待って!えーっと……」

『あぁ〜、もぉ……唯、何とかして』

なかなか、決められない美朱に対し、ふぅっとため息を付き、頭を抱えるつぐみ。
本来なら唯と3人で来るはずだったが、
“つぐみさん!美朱をよろしく〜!!”なんて言いながら、
唯は当日になって、哲也の急なデートの誘いを優先し、行ってしまった。

「やっぱ、魏には、こっちの色の方が似合うかなぁ?」

『マフラーかぁ……あいつは現金の方が喜ぶと思うけど?美朱?』

「あはっ!そうかもぉ!」

二色のマフラーを抱え、楽しげに美朱が笑い、
早く、外に出て一服したいと思いふけるつぐみ。

それから三十分。ようやく、プレゼントが決まり、二人はレジへと向かう中、
再び、美朱がクスっと笑い、つぐみに話しかけた。

「それにしても、びっくりだよねー?」

『……ん?』

「翼宿と井宿だよ!まさか、向こうの世界からこっちに来ちゃうなんて!」

『あぁ、まさか願いを聞いてくれるとは……』


全ての戦いが終わり、世界に平和が戻った時――

井宿と翼宿の二人がつぐみの世界で暮らしたいと言う願いを麒麟が叶えてくれたのだった。

「ねぇ?もちろん、つぐみさんも井宿にクリスマスプレゼントあげるんでしょ?何か決めた?」

『私は、もらう専門!』

「また〜!照れないで、教えてよぉー!」

『べ、別に照れてなんか……』

「ふぅーん?」

『あぁー……じゃあ、これでどう?』

そう言って、つぐみはたまたま横の棚に積んであった
“赤いきつね”を手に取って、美朱に見せた。

「つぐみさん、それは、どうかなぁ……」

『駄目?』

真剣なのか冗談なのか分からない顔つきのつぐみに美朱が返答に困りつつも
幸せそうにつぐみを見つめた――



つぐみさん……井宿と幸せになってね。
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