LONG STORY

□午
2ページ/10ページ


古典の授業を受けながら、私はぼーっとグラウンドを眺めていた。
開け放たれた窓からはそよそよと暖かい風と共に、体育の授業を行う生徒達の声が入ってくる。
怠そうにランニングする様子から、1年生ではないだろうと予想する。1年生もランニングする時、「いやだ」「疲れる」「面倒臭い」と口にするけれど、号令がかかれば元気よく走り出す。

そんな怠そうに走る生徒達の中を、全力で走る二人の男子生徒がいた。
二人は白線のところまで走り抜けると一人はガッツポーズし、一人は膝に手をついて項垂れた。楽しそうな笑い声も聞こえ、前に沙英が遊びながら走る男子生徒に対して、「なにあれ、ガキだねー」「子供だから、体力が有り余ってるんでしょ」と言っていたことを思い出し、私は自然と口元が緩んだ。

先輩達も、子供なんだなぁ…。

本文の説明が終わり、教師が黒板に板書していく現代語訳を私はノートに書き写す。それにしても、と、私は顔を上げる。グラウンドには綺麗に整列した生徒達の姿があった。

あの独特な笑い声…。
聞き覚えがあるような…?



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ