RPS
□奴
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【45周目】
「…はじめまして、一です」
そう言って頭を下げた彼と目が合った。
その瞬間、ズキンッと頭が痛んだ。
『イッ…!』
「…雨月さん?どうかしましたか?」
『あっ、いえ…なんでもないです。ごめんなさい…』
転校生の紹介中に声を上げてしまい、私はクラスの注目を集めてしまった。
恥ずかしいなぁ…と痛む頭を撫でる。頭痛でこんな痛みを感じるなんて。過去を遡ってもはじめてのことだった。
私は、今、不思議な体験をしている。それは、ループする世界にいるということ。前回の世界のことも、前々回の世界のことも覚えている。何十回と繰り返したことも覚えている。けれど、この世界に閉じ込められている理由も、その原因も、私は覚えていなかった。
そんな世界に、転校生が現れた。
彼の名前は一 十一。イチと書いて、ニノマエと読む。
ニノマエ ジュウイチくん。
きっと彼がこの世界のウイルス…いや、バグに違いない。
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