RPS

□憾
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「あ…」
「どうしたの?」
「ふふ…見て、ほら、あそこ。ネコ」
「あ、本当だ」

「こらー、陽太!野良猫に餌あげるなって言ってるでしょー!」
「うるさいよ、姉ちゃん!逃げちゃうだろ!」
「あーげーるーなって言ってるの!」
「うわ、こっち来んなよ!姉ちゃん、餃子臭いんだから」
「っ、陽太あああ!!」

「姉弟かな?漫才してるみたい…」
「ね、すごく楽しそう」

「紗綾ぁー!紗綾ぁー!」
「げ…ストーカー!!」
「え、姉ちゃんに?嘘でしょ…」
「本当なんだなー、それが」
「自分で認めるヤツ、僕、初めて見た」
「紗綾、結婚…」
「しねーよ、帰れ」

「あっはははは!何あれ、ウケる!!」
「…すごく、楽しそうだね。主に理央ちゃんが…」
「だって楽しくない?それに…なんでだろう。幸せだなって思うんだよね」
「…私も。私も幸せだよ、理央ちゃん」
「よーし、奈々!今日は散財するぞ!!」
「えぇ!?」
「ほら、どこか行きたいところないの?」
「うーん、そうだなぁー…。あ、そういえば、駅前にカフェが…」

「陽太、今日の夜、何食べたい?」
「僕は紗綾の手料理…」
「お前には聞いてない」
「うーん…たこ焼き鍋かな〜」
「わかった、餃子鍋ね」
「ちょっと!僕、餃子なんて一言も言ってない!!」
「今、言った」
「紗綾の手料理…」
「「お前は黙ってろ」」





女は語る。

「素敵なハッピーエンドね…」

男は語る。

「まさか、こんな形で世界がリセットされようとは。考えたものだな」

女は語る。

「一人の少女が幾多の世界を行き来し、導き出した答えよ」

男は語る。

「本来なら、彼女が存在していることすら怪しまれるというのに…」

女は語る。

「彼女が存在しない世界が多いというだけで、彼女が存在する世界はちゃんとあったのよ。雨月理央という少女の世界が…」

男は語る。

「…だが、所詮、バグにすぎん。行くぞ、朝倉。寄り道をしている間に、また新たな世界が生まれたぞ」

女は語る。

「えぇ、急ぎましょう。今度の世界は、どんな世界になるのかしらね…」



Fin…


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