女子高生探偵

□FILE.32
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家に帰った私は一目散にTVの電源を入れた。リモコンを操作してチャンネルを回す。バラエティ、ドラマ、ニュース…これだ!
速報を知らせるニュースの音量を上げ、リモコンをソファーに放り投げた。

<大黒ビルの…!大黒ビルの最上階から黒い煙が立ち込めています!!>

ソファーに腰掛けてニュースに集中するが、貧乏揺すりが止まらない。祈るように組んだ手には力が入り、額には汗が滲む。

<爆発が起きたのは18時15分頃で、今も尚、救助活動が行われています>
<怪我人も多数出ており……>

「きたっ…!」

ガツンと備え付けの机にぶつかりながら、TVに放映されるビルの様子を食い入るように見つめた。黒い煙に包まれた大黒ビル。消防士による決死の消火活動。救出された大勢の人…くそ、やっぱり野次馬は撮影しないか。だが、情報はこれで十分だと、私はTVから離れ、ソファーに座り直す。
一ヶ所だけ、綺麗に吹き飛んだビルを見れば、そこを狙って爆破させたのは明らかだった。使用した火薬の量はそう多くない。奇跡的に死者が出ていないと報道するアナウンサーの声に、パチンと浮かぶ"証拠隠滅"の文字。
爆弾の威力が高ければ建物ごと破壊することは可能だし、人間ごと木っ端微塵に出来る。火が出れば、建物内部は全て消し炭になる。

ヤツらの目的は、目標の破壊だ。

野次馬の中にも、救出された人の中にも怪しい人影はなかった。皆、不安そうに肩を寄せ合い、一体何が起こったのかわからないと言った顔をしていた。

映像がスタジオに戻され、これ以上の情報は得られないだろうと悟り、TVのボリュームを下げる。何故、こんなにもこのニュースに集中していたかというと、私が追っている事件の関係者と思しき男性が、死んだからである。

その男の名前は、テキーラ。
ヤツらの仲間だ。



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