女子高生探偵

□FILE.47
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「なんだよ、お菓子じゃねーのかよー…」
「鉄の塊ですね」
「ねえ!これってもしかして知恵の輪じゃない?」

明るい声で正解を述べる女の子に、「よく知ってたね」と返すと、女の子は頬を赤らめて笑った。入院中の暇潰しなればと選んできた知恵の輪は、私が遊んだ中で一番難しかったモノ

「おい、これ外れねーぞ?」
「それはそういうおもちゃでして…」

「少しよろしいですか?」と毛利探偵の手からそれを借り、カチャカチャと少し弄ってパーツを分解する。

「このようにパーツを外して遊ぶ、パズルなんです」
「すげー!一瞬で外したぞ、この姉ちゃん!!」
「実はすごく簡単なんじゃないですか?」

簡単だ。勿論、慣れればの話。仕組みさえ分かれば簡単に解けてしまう。
子供達の言葉に踊らされた毛利探偵は、知恵の輪に再チャレンジする。だが、ガチャガチャと音がするだけで、一向に外れる気配はない。その様子を見て子供達はクスクスと笑った。

「だあああっ!苛々するっ!」
「…すみません」
「あ、いや…」

毛利探偵には向かないおもちゃだったようだ。毛利探偵は後頭部を掻きながらありがたく頂くと言って知恵の輪を箱に仕舞った。きらりと箱の中で輝いたそれを見つめていると下の方から「ねえ」と声を掛けられる。声のした場所を見下ろせば、「お姉さんも探偵さんなんでしょう?」と女の子が私を見上げてそう言った。

子供は無邪気で、誰にでもお構いなしに話しかけて来るから困る。人見知りの激しい私は、「ええ、まぁ…一応」と誤魔化すように答えた。

「お姉さんは、先週起きた銀行強盗事件覚えてる?」
「あー…うん、覚えてるよ」

高木刑事の話を思い出し、私は困ったと眉を下げた。

「ズバリ、犯人は今、どうしていると思いますか?」
「…盗んだお金の使い道でも考えてるんじゃないかな」
「ということは、まだ近くにいるということですか!?」
「まぁ、うん。そうだね」

チラリとカーテンに仕切られた奥のベッドを盗み見る。動く気配はない。

毛利探偵が、そろそろ観たいTVが始まるというので、私はそこでお暇することにした。毛利探偵に車椅子を持ってくるようお願いされた子供達と一緒に病室を出て、休憩所で待っている高木刑事の元へ行く。

「どうだった?」
「カーテンで仕切られていたので見られませんでした…お役に立てず、申し訳ありません」
「そっか…ごめんね、こんなことお願いしちゃって…」
「いえ、提案したのは私ですし。ついででしたから」

犯人の様子を見ようと思ったのだがダメだった。警察もたくさん来ているし、これ以上首を突っ込むのも迷惑だと思い、「後はお任せします」と病院を後にした。

その日の夜、銀行強盗の犯人が全員捕まったとニュースで報じられ、「大手柄じゃん」と届くはずもない拍手を高木刑事に送ったのだった。



end

『強盗犯人入院事件』でした。
同時刻に誘拐事件が起きていたなんて知らない。
やっと、少年探偵団と顔合わせすることが出来ました。でも暫くは彼らとの絡み、ありません…。
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