HETALIA

□君の背中と鬼ごっこ
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一生懸命に見据えるその目は時に穏やかで、時に意地悪で、時に愛しさで満ちていて。
私はその目が大好きだったけれど、その視線は私へのものではなかった。
誰のものかなんてはっきりしていた。四六時中彼を見ているのに私が気づかない訳がない。
信じたくもなかったし正直悔しかった、憎んだ。
でも私が想い続けて見れば見るほどその事実には痛々しいまでに実感させられるばかり。
逃げたいというのが率直な思いだ。
二人を見ていたくない。それにこのまま側にいたら殺めてしまいそうな自分が怖い。でも一番の理由は私が傷つきたくないからだ。
惚れ薬があればいいのにと幾度願ったことか。
しかし現実にそんなものは無く、彼は結局私を見てはくれないだろう。
もしかしたら、彼も惚れ薬を求めているんじゃないかとふと思った。
あの人に飲ませるために。
彼だって片思いだ。
私とおそろいなのに、嬉しくない。
もう少しましな共通点はないのだろうか。と頭をひっくり返して探すがなに一つ無い。
虚しさが胸を締め付ける。

「おい、こんなとこでアホ面してると風邪引くぞ。」

そんな声が聞こえて振り返ると、青闇がかった夕焼けが目に入って、
それをバックにギルベルトが立っていた。
愛しさと胸苦しさが同時に押し寄せてきて胸がきゅんとする。
逆光でよく読めない表情。
彼は私の手首を掴んで「行くぞ。」と言った。



君の背中と鬼ごっこ


諦めさせてください。お願いだから。
こんな風に優しくされたら期待しちゃうじゃん。

(そしてまた、追いかける。)






▽ あとがき
よく分からん文ですね。
要するにいい加減片思いを終わらせてくれという話。
普の想い人はもちろんハンガリーの姉さん。



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