(**には貴女の名前を当てはめて下さい)
白い鍵盤を叩くその繊細な指先。
楽譜を見つめる穏やかな眼差し。
いつか、私も
その指先に触れられたい。
その眼差しに見つめられたい。
それでもあなたは
いつまでたっても私を見てくれないのね。
「**さん、ですよね」
始業式の後、急に声をかけてきたのは
「あの…鳳です。覚えてませんか?」
勿論、覚えてるよ。
ずっとあなたのことだけ
思ってきたんだから。
私が頷くと
あなたは嬉しそうに微笑んだ。
「やっぱり!全然変わってないや。初等部で同じクラスになって以来ですね」
「…私のこと、覚えてたの?」
「勿論。だって、ずっと**さんのこと、」
この先はなんだか
言うのが勿体無いや。