□半熟な僕等
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あぁ、この場所は…と、ふと数ヶ月前のことを思い出しサンジは足を止める。
たった数ヶ月前なのにずいぶんと昔のように感じるな、と僅かに目を細め辺りを見回す。
此処はサンジとゾロが初めて出会った場所だ。
サンジはゆっくりと息を吸い込み肺を煙で、頭を記憶でいっぱいに満たすとふーっと一気に吐き出した。
吐き出した煙草の煙はふわりと風にさらわれてゆく。
それを目で追うとその先には愛しい緑髪の彼…。
名はロロノア・ゾロという。

サンジが隣にいないことに気付いたゾロは振り返る。
サンジが足を止めた場所から自分は予想以上に遠くにいて…。
自分の傍にいないサンジと、サンジがいないことに気付くのが遅かった自分に少し腹を立て、少しムッとした。

『おいっ、何やってんだ?おいていくぞ!』

とゾロに言われ、サンジは漸く歩を進める。
ニヤニヤと口元を歪ませながら近くまで来ると

『おいてくんじゃなくて、迷子になります。だろ?』

と、ゾロの頭をポンポンと叩きながら言ってやる。

『テメェッ!ガキ扱いすんじゃねぇ!』

と顔を真っ赤に怒るゾロだが、こうされるのを本気で嫌がっていないことをサンジは知っている。

『あーごめん、ごめん。テメェと初めて出会った場所だったからさ、さっ行こうか。』

一応、宥めるように平謝りして歩き出す。
どうせお前は覚えちゃいねぇんだろう?、とサンジは思ったが口には出さなかった。
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