□毎日会いたい
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メインマストにくくり付けられた笹は皆の願いを一身に受け止め、夜風に吹かれる度沢山の葉と短冊を揺らし、ザワザワと音をたてる。

『彦星と織り姫、ちゃんと会えたかなー?』

と星いっぱいの空を見上げ呟くのはサンジ。
かなり酒が入りご機嫌の様子。
今夜は天気が良く星が綺麗だ、と甲板でゾロと酒を飲むことにしたのだ。

『いいよなぁ、彦星と織り姫は!年に一度だけでもイチャイチャできてよぉ、なぁ?』

はぁと溜め息混じり、嫌みを零しチラリとゾロを見やる。
しかし当のゾロはというとサンジとは全くの逆方向を向いており、ソヨソヨと吹く心地良い風に若草色の髪をなびかせ目を細める。
この2人、恋人同士ではあるのだがまだまだ清いお付き合いしかしておらずサンジは悶々とした日々を過ごしているのだ。

『チッ。無視かよ…』

ふんっと拗ねたようにゾロから視線を外すとスッと立ち上がり、メインマストの笹へと近寄る。
ヒラヒラと風に吹かれて回る短冊をひとつ掴み、ゾロに問い掛ける。

『なぁ、テメェ。願い事何て書いたんだ?』

『……』

無言で睨むような視線が向けられるが、サンジとて負けてはいない。
これくらい答えやがれ!と目で訴えるよう睨み返す。
しばし沈黙が続き、沈黙に堪えきれなくなったサンジだったが先に口を開いたのはゾロだった。
クイッと酒を煽ると一言。

『くだらねぇ。』
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