堕ちた恋
□明日、放課後、図書室で。
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本に伸ばそうとした自分の手をピタリと止めて、
違う方向から伸びて来ていた手を睨み付ける。
この手はあたしの読みたい本を狙っている。
いつもいつもそう。
同じ本ばかり狙ってくる。
「ちょっと、真似しないでよ」
「してねぇよ」
「真似してるでしょ」
「するかよ!真似してんのはひなきだろ!」
「違いますー!響也が真似してるんですー」
「はあ?!」
違う、違わない、とギャーギャーと言い合いながら、なんとしてでも先に本を奪おうとしたら、
「こら!あんた達はまた喧嘩して!」
やめなさい!と先生に一喝された。
毎日、放課後、図書室で。
あたし、
安藤 日生《アンドウ ヒナキ》と、
同じクラスの男子、
結川 響也《ユイカワ キョウヤ》は、
飽きる事なく、こんなバカな光景を繰り広げている。