堕ちた恋
□明日、放課後、図書室で。
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ー…
………
「あんたのせいでまた怒られたじゃないのっ」
図書室で始めた本の取り合い。
そのせいで怒られたあたしは、自分の勉強道具が置いてあった席に戻り、むすりと唇を歪ませながら、斜め前を睨み付けた。
「それはこっちのセリフだ」
あたし同様ムスリとしながら睨み付けてくるのは、頭がやたら良くて、顔もやたら整っている嫌なやつ、響也。
「ひなきはいつもいつも俺の邪魔をする」
「な!してるのはあんたでしょ!」
「んな訳あるか、ばか」
「ばか!?ばかって言った!?」
「言った。ってかうるさい」
うるさい!?
何よ!と文句を言おうとしたら、
「安藤さん?」
カウンターから先生が低い声であたしを呼んだ。
だから、両手で自分の唇を抑えると、響也が勝ち誇ったような表情を浮かべて『ふん』と笑った。