堕ちた恋
□明日、放課後、図書室で。
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家帰って勉強すればいいのに、と自分の事を棚に上げてチラリと響也を見ると、
「何」
あたしの視線に気付いた響也があたしを真っ直ぐに見た。
「別に?」
なんでも無いですー。
とか言いながらそっぽを向くと、『あっそ』と言われた。
そしてすぐにカリカリと何かを書いてるような音が響也の方から聞こえて来たから視線を戻すと、
「………、」
響也は書くのを止めて、参考書を見ながら、クルクルと指でペンを回し始めた。
どうやら何かを考えているらしい。
響也は物を考える時、指でクルクルとペン回しをする癖がある。
別に幼なじみとか、中学一緒だったとか、席が隣だとかでは無いけれど、毎日近くで勉強されたら嫌でも癖に気付く。