Sakura addiction

□6.日常
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いつも悠理と雲雀は、他の生徒が帰るまで応接室にいるのだが、今日は屋上に来ていた。


悠理はフェンスに手をかけ、下を眺めている。

雲雀はその隣でフェンスにもたれて座っていた。


「最近はずいぶん暖かくなりましたね。屋上にいても、そんなに寒くないから」

「……君は、何をすることが、好き……?」


雲雀がポツリと呟いた。


「え? どうしたんです? 急に」

「いいから質問に答えなよ。咬み殺されたいの?」


悠理は少し訝しんだが、質問に答えた。


「? そーですね……。本を読んだり、歌を歌ったりするのが好きですね」

「歌?」

「はい。軽音楽が好きです」

「どんな曲?」

「曲、ですか? う〜ん……そうですね………‘Sakura addiction’とかですかね」

「じゃあそれ歌って」

「え?」


悠理は思わず聞き返した。


「何? 文句あるの?」

「……わかりました」


そう言って、悠理は雲雀の隣に腰を下ろした。



『桜咲く 舞い落ちる
何も無い ぼくの手の上
儚くて 優しくて 壊れそう
きみみたいな花〜♪
……っ!』



急に雲雀が悠理の肩に寄り掛かってきたため、驚き歌を止めてしまった。

顔を赤らめる。

動けない……。


「どうしたの? 歌って?」



『 いつもの改札を〜♪』



なんとか歌い始める。
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