頬をなぜる風が、心地よい。桜の木を前に佇む自分を、急かすように桜の花びらが舞う。ここで迎える3回目の春は、なんとも言い表せない気持ちを抱かせ、泣きそうになるのは、何故なのだろう。
「阿部」
自分を呼ぶ声に振り向けば、尚も涙がこみあげてくる。
「3年って、なげーのにみじけーのな」
1回目の春、お前と出会えた。
「はえー球うつのはおもしれーし、試合はたのしーし」
2回目の春、お前と一緒にいた。
「阿部のことはすげー好きだしで、あっという間だったな」
3回目の春、
「阿部」
3回目の春、は、
「好きだ」
「これからも、ずっと好きだ」
「次の春も、次の次の春も、次の次の次の春もずっと、ずっと、」
3回目の春、
「一緒だ」
また、お前と一緒にいる。
M:某アイドルグループの卒業ソングを聴いてたら、いつの間にか書き殴っていた、後悔はしている、ごめんなさい。
2011/02/23