暴神が辿る道
□第窮箱〜大嘘憑き、昔話〜
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俺は今、何と無く気分で町を徘徊している。
理由は簡単…何故だかとてつもなく妙な予感がしたからだ。
「さて、随分歩いたような気がするのだが……予感が外れたと見ても良いのかな?」
俺の予感はかなりの精度で当たるのだが、今回は何もない……。
本当にハズレなのかね?
「はぁ……。俺の予感が外れる事なんて有り得ないんだけどな……。しかし、有り得ない事も有り得るようになる…。そんなヤツがいるのかもな…」
俺の予感が外れる事は事実的に有り得ないため、そういう異常を持つヤツがいたんだと納得する事にした。
「あぁ〜…。何かあると思ってサボって出てきたんだけどなー…。名瀬ちゃん達に会いに箱庭に戻るかなー」
名瀬ちゃんとか古賀ちゃんとか風紀委員の奴らとかと話してーしな。
あと、空洞とか真黒さんとか、阿久根とか鍋島さんとかもね?
「さっさと帰るとしますかねー…」
俺は首を鳴らしながら、後ろに向き帰ると、突然ソイツは現れた。
「『あはっ!久し振りだね!』『燼くん!』」
俺はその嘘に塗り固められたような言葉を聞き振り返った。
「…………禊…。病院の時以来か。まさかまたお前に会う事になるとは思わなかったよ」
其処には、かつてめだかちゃんと初めて会い、且つその時に初めて話した人間がいた。
「『僕は君に会えてとっても嬉しいよ!』」
全く全てが嘘…偽りのような男だな。
昔を彷彿とされる…。
「お前は全く変わらんな……禊」
「『そうだね!僕も君も全く変わらない』」
(違う……。俺は変わった…。アレからあの力だって封じたし、性格だって変わった。考えも変わったしな)
「変わってないのはお前だけだよ、禊」
「『いや、君も僕もその力の本質は変わらない』『だって、僕と君は同じだからね』」
そう笑いながら口にする禊。
本当にコイツは……今までの俺の生き方を否定してきやがる…。
俺がアレからあの力を血の滲むような努力で封じ込め、それで生きてきたと言うのに…。
「黙れ。昔のような考えでは無くなったんだ。俺は既にあの時とは違う」
「『確かに燼くんは力を隠してるみたいだけど』『本質的には変わらないよ』『心の奥底では』『昔みたいに人を壊したがってる』」
そう笑いながらも口にする。