タルタロスも夢を見る
□彪流-TAKERU-
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編入生がやって来る。
滅多にない一大イベントに、学園は上を下への大騒ぎだ。
そんな彼らの様子に、おれは思わず昔を思い出した。
(……デジャヴュだ)
おれがまだ、彼らと同じ制服を着ていた十年前。
季節はちょうど今頃だった。
彼もこうしてやって来た―――変装とも呼べないような、妙ちきりんな格好で。
タルタロスも夢を見る
―彪流―
彼はよく「なんで」「どうして」と我が身の不幸を嘆いていたが、周りからしてみれば彼こそがトラブルメーカーで、それは周囲を根こそぎ巻き込むほどの、強力な“天災”だった。
(十年ぶりの編入生か……)
懐かしい―――と思うと同時に、背筋が寒くなった。