ウラノスは夢も見ない

□プロローグ
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 今、学園は編入生の噂で持ち切りだ。

「編入試験、満点だったって!」
「じゃあ特進科?」
「ううん、普通科!しかもGクラス!!」
「G!?」
「何で!?家柄!?一芸!?」
「何者〜!?」

 駆け巡る噂は、ゴールデンウイークを終えたばかりの何かと浮足立つ学園を、尚更浮つかせる事態となった。
 そもそも学園が編入生を迎えるのは、異例中の異例なのだ。
 金さえ積めばどんな馬鹿でもどら息子でも入れるともいわれる、門戸の広いような狭いような学園だが、一度鎖した門扉は強固だ。
 高等部では、自主退学も含め、退学者は滅多に“出さない”(『問題』は放出するより内に“飼う”のが学園の体質だ)
 ここ二十年で、学園を去り他校に編入したのは一名のみである。
 そして編入生を迎えるのも、実に十年ぶりのことだった。

 ―――そう、十年前のあの時は、この地に足がつかないようなお祭り騒ぎが、彼の卒業まで延々続いたのだ。



 悪い夢を見ていたような三年間だった。






ウラノスはも見ない
〜プロローグ〜






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