エイリア

□君にしか出来ない事
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それは、なんとなくだった。





行きたくないな。
今日は家から出たくない。





朝の布団の中で、そんな風に思ってしまった。
でも行かなきゃ。
授業もあるし、でもなんか身体がだるい。



結局その日は学校に
も行かなかったし、あまりご飯も食べなかった。



行きたくない。と、行かなくちゃ。って思いが、僕の中でぐるぐると渦巻いて、やがて身動きが取れなくなった。



そんな感じで、もう学校に行けてなくて一週間になる。



「こんなに休んだらなんか行きにくい・・・風邪でもこんなに長くはほとんど休まないし」



僕いったいどうなったんだろう。
一週間も経っちゃって、もう授業進んでるんだろうな。、と思った。
そうやって思ったら、なんとなく、学校という存在が嫌になった。



早く行かないと、皆より授業遅れちゃうし。
そう思って、夜、宿題をやって明日の授業の教科書を詰め込んだ。


だけど、やっぱり朝行けなかった。


おかしいな。
ご飯も食べて、制服にも着替えて、鞄持って、靴もはいたのに。
玄関から出れない。
ピタリ、と身体が硬直したみたいに動かない。



結局その日も学校を休んでしまった。



そして、午後。
学校が終わった頃、友達が来てくれた。




「大丈夫か?」




心配そうな顔で、円堂くんが僕の顔を覗き込む。
なんとなく理由も無いのに休んで、後ろめたい気持ちはあったけど。
会わない、って言うと余計に学校へ行けなくなりそうだったから。



「うん。大丈夫だよ」

「なんか無理してんだったら、無視しなくて良いからな?」

「そうだよ!私達なんだって聞くから!!」



風丸くんが、ぽんぽん、と僕の頭を撫でて。
秋ちゃんがぎゅっと僕の右手を握った。
なんか、こんなに心配かけてる自分が嫌になった。
皆、良い子だから尚更。
こんな理由もなく心配かけてる自分が凄く汚く思える。



「大丈夫、大丈夫!無理はしてないから。

悩み事もとくに無いし。

ちょっと最近疲れたからかもしれない。

ごめんね、心配かけて」



なんだか皆に暗い所を見せたくなくて、無理して笑ってみた。



その後は今日あった事とか、いろいろ話して終わった。
なんか、自分が皆から離れていっているようで、変な孤立感に襲われた。




---




円堂くん達が来てくれてから3日。
いまだに、学校は行けなかった。
なんだか一日がもの凄く速い。
もう3日経ったんだ、となんだか自分の事が他人事みたく思えてきた。




その更に5日後、今度は何でか分からないけど、学校の終わりに円堂くんと基山くんが来てくれた。



基山くんと僕は全然、接点がない。
会話もあんまりした事無いし。



なんで、基山くん?と疑問に思いながらも、三人で会話して、盛り上がって。
二週間ほど前と変わらないような時間を過ごした。


なんか楽しかった。


この二週間くらい、こんなに楽しい時間は無かった。
何をやろうとしても、やる気が起きないし。
何を考えても、最終的には自己嫌悪にしかたどり着かなかった。



だけど、今日はひさびさに笑えた気がする。





---





円堂くんと基山くんで、僕の家に来てくれた日から、毎日基山くんが僕のところへ来てくれるようになった。
だいたいは円堂くんと2人でとか、風丸くんと一緒にとかだったけど。
基山くんが1人で来る事もあって。



なんか、ちょっとだけ日々が楽しくなった。
だけど、生憎学校には行けるようにならなかった。



どうすれば良いんだろう、と基山くんに相談するようになって。
相談しても答えは出なかったけど、ちょっと楽になった気がする。



答えが出なかったって言うのは、基山くんが



「無理しなくても良いんじゃないかな」

「ゆっくりやれば良いんだよ。いきなり何でもできる人なんていないんだから」

「すぐにはきっと、答えは出ないよ」

「もっと自分を認めてあげれば良いんだよ」



とか。
とにかく、ちょっと気が休まる事を言ってくれたから。
時には、その励ましの言葉も綺麗事だって思っちゃうマイナス思考な時もあったけど・・・。



答えは人から貰う物じゃなくて、自分で一つづつ、欠片を集めて行くものだよ。


と、なんだかやけに大人っぽい事を言った基山くん。
がんばれ、とは決して言わなかった。
ちょっと皆とは違う変な人。



「だって君は、君にしか出来ない事があるでしょ」



その性格も。
その顔も。
その声も。
全部。



他の人と一緒のところなんて、何一つ無いんだから。



あ、勿論似ているところはあるかもしけないけど。



全部一緒の人はこの世界のどこにも居ないよ。



だから、君には君にしか出来ない事がある。



その声も、その笑顔も、全部。
まねしようとしても出来ない物だろう?



だから君の存在は、君が生きていると言う証は、



君にしか出来ない事、君にか残せない物だよ。





本当、変わった考えの奴だ。
そんな考えをつねに持ち続けて生きていくなんて難しい。



だけど、基山くんは、僕が一緒に居ると楽しいって言ってくれた。
そんなに頑張らなくて良い、と休む事を教えてくれた。
だから、ほんのちょっぴり。


少しづつ進めば良いんじゃないかな、と思えたんだ。




---

いったい何が書きたかったやら・・・(@_@;)


   

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