†右巻螺子†

□‡夕餉‡
1ページ/1ページ

彼女がこのベランダの手すりに座ったのは
毎日変わらない景色に色を見たかったからだろうか…
金色に輝く草も 野辺に咲く一輪の花も 彼女の気持ちを充たしはしない 何故なら 彼女には 風を感じる事しか出来ないから―… 冷たい手すりに指がかじかむ頃 何処からか温かな匂いがする ……そして彼女の表情は…… 空腹と共に生きている歓びに苦笑する 彼女がこのベランダの手すりに座って居たのは きっと この日常が不変な物であるように この夕餉がいつまでも穏やかな物であるように 想っていたからだろうか…

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ