†右巻螺子†

□〜海風〜
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女は飯を食っていた
肉ばかりの
飯を食っていた

海風が女の髪を
悪戯に誘っても
波が手招きしても

女は海に背を向けて
一心に飯を食っていた
海の美しい青が
風の優しい薫りが
それを取り巻く渦が
船の呼び笛が
この世の音と言う音が女を振り向かせようとざわめく…

けれど 女は
髪の黒い その女は
それを気付かずに
海を背に肉ばかりの飯を食っていた…

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