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□episode40〜ここから〜より妄想話
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『…模擬店部門の第一位は……貞子の相談ブースが高評価をうけた2ーD、貞子の黒魔術カフェです!!!!』
「うお〜〜〜〜〜〜〜ッッ!」
体育館に爽子達のクラスの模擬店が一位になったと言う声が響いたのち、歓喜と落胆の声が地面を揺らした。
「すっげぇよ!貞子のおかげじゃん!!」
「うん!貞子、お菓子とかお茶とか本当色々やってくれてたもんね!!」
「相談ブースも大繁盛だったしな!!」
爽子は、今だに夢を見ているのではないかと目をぱちくりとさせている。
――今自分の目の前にあるものは、爽子が幼少の頃からずっと思い描いていた光景だった。
『クラスの一員として何か役に立ちたい』
――そして願わくば、誰かを笑顔にしてあげたい。
ずっとそう思ってきた爽子にとっては、正に夢のようだった。
(…ううん。夢、以上だよ。……皆が笑ってくれていることが、皆にありがとうって言ってもらえることが、こんなにも嬉しいことだったなんて…)
「…みんな…ッ
ありがとう………ッ!」
「なんで貞子がお礼言うんだよーー!!」
「てゆーか貞子が泣くからもらい泣きしちゃうじゃぁん!」
「なんかいいなっ!俺たち青春してるって感じ!?」
「2ーD最高ーーーーッ!!」
「てゆーかさ!!てゆーか!!胴上げしよーぜ!!胴上げ!!!!」
「でたよ!ジョーのお祝い好きが!」
「だれを?まさかピン!?」
「いや…どう考えてもピンは上がらんだろ……つーかさ…」
――貞子以外いなくね?
そう呟いたのは誰だったかは解らないが、次の瞬間には爽子の周りには人垣ができていた。
「え、え?ちょっと待って下さい…私を
ど、胴上げなんて…お、重いですし……」
「よぉぅしッッ!!!」
「上げろーーーーーーっ!!」
言い終わる前に爽子は複数の手によって空中に投げ出されてしまっていた。
「う、うわわゎっ…!」
慌てる爽子を余所に、更にに高く宙に上げる。
「………………!!??」
――そのとき、この胴上げに危機を感じた者約一名。
もちろん爽子ではない。
いますぐにでも人垣を掻き分け胴上げを阻止しそうな表情を浮かべているのは……
そう。今からもう何度目になるか分からない告白を爽子にしようとしている風早翔太だった。