long story*12/31姉僕8UP*


□姉さんと僕 1
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「どこいくの?いっちゃやだよ!ずっといっしょだよって約束したじゃん!」



「…約束…したじゃん…―」



「…ごめんね…翔ちゃん…約束を破ってしまって、ごめんね…泣かないで…?翔ちゃんの笑ってる顔がだいすきなの。翔ちゃんの笑顔が私に元気をくれたの」



「おれの……?」



「そうだよ 翔ちゃんの笑顔にはいっぱいいっぱい、たくさんの人を元気にできる力があるんだよ?…だからいつも笑っていて欲しいの……」



「……わかった…おれいつも笑うよ!!とおくにいっても姉ちゃんが笑ってくれるように」



「うん…私はいつも翔ちゃんのことを思い出すから。…ぜったいに翔ちゃんを忘れたりしないから……―」




――…また ぜったい

どこかで あえるから……






「――…まってッ!!」




小さくなって行く背中を追い掛けるように、ガバッと起き上がる。

―時計の秒針と己の心臓の動悸が静かな空間に響く。
少しずつ頭の霧が晴れてきて、周りを見渡すとそこは見慣れた自室だった。





「…夢…………か……」





ふと、頬に触れてみると涙を流していたことに気づき、思わず苦笑する。




「……あれからもう9年経ったんだよな………」




「元気にしてるかな…爽姉…」





姉さんと僕 1






「オハヨー風早!!今日なんか早いんじゃん?」



「はよ!いつもどーりだって」



「全然いつもどーりじゃねぇだろよ!!」


「えー、そっかなぁ」



「なぁ風早〜今日の昼休みは何する?」



「う〜ん、天気いいから外!」



「あ、風早!こないだのゲームでさぁ…」




俺の通う北幌高校の1ーD組の朝はいつもこんなだ。
……別に鼻にかけるつもりはないけど、俺は割と皆から好かれてる方なんだと思う。




『なんかさ、風早が笑うとイイんだよ!!別に変な意味はないけど、なんつーかこっちまで元気になれるっつか』




そんなことを言われることが度々ある。



そんな時には、必ず思い出してしまう。



―全てん包み込むような、あの優しい声を。



(…俺、いま笑ってるよ。俺の笑顔で元気になってくれる人がいるよ。……爽姉はどうしてるかな……)
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