long story*12/31姉僕8UP*
□姉さんと僕 1
1ページ/4ページ
「どこいくの?いっちゃやだよ!ずっといっしょだよって約束したじゃん!」
「…約束…したじゃん…―」
「…ごめんね…翔ちゃん…約束を破ってしまって、ごめんね…泣かないで…?翔ちゃんの笑ってる顔がだいすきなの。翔ちゃんの笑顔が私に元気をくれたの」
「おれの……?」
「そうだよ 翔ちゃんの笑顔にはいっぱいいっぱい、たくさんの人を元気にできる力があるんだよ?…だからいつも笑っていて欲しいの……」
「……わかった…おれいつも笑うよ!!とおくにいっても姉ちゃんが笑ってくれるように」
「うん…私はいつも翔ちゃんのことを思い出すから。…ぜったいに翔ちゃんを忘れたりしないから……―」
――…また ぜったい
どこかで あえるから……
「――…まってッ!!」
小さくなって行く背中を追い掛けるように、ガバッと起き上がる。
―時計の秒針と己の心臓の動悸が静かな空間に響く。
少しずつ頭の霧が晴れてきて、周りを見渡すとそこは見慣れた自室だった。
「…夢…………か……」
ふと、頬に触れてみると涙を流していたことに気づき、思わず苦笑する。
「……あれからもう9年経ったんだよな………」
「元気にしてるかな…爽姉…」
姉さんと僕 1
「オハヨー風早!!今日なんか早いんじゃん?」
「はよ!いつもどーりだって」
「全然いつもどーりじゃねぇだろよ!!」
「えー、そっかなぁ」
「なぁ風早〜今日の昼休みは何する?」
「う〜ん、天気いいから外!」
「あ、風早!こないだのゲームでさぁ…」
俺の通う北幌高校の1ーD組の朝はいつもこんなだ。
……別に鼻にかけるつもりはないけど、俺は割と皆から好かれてる方なんだと思う。
『なんかさ、風早が笑うとイイんだよ!!別に変な意味はないけど、なんつーかこっちまで元気になれるっつか』
そんなことを言われることが度々ある。
そんな時には、必ず思い出してしまう。
―全てん包み込むような、あの優しい声を。
(…俺、いま笑ってるよ。俺の笑顔で元気になってくれる人がいるよ。……爽姉はどうしてるかな……)