long story*12/31姉僕8UP*
□姉さんと僕 5
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『少しお話できないかな…?』
控えめにそう言った爽姉の声がさっきからずっと繰り返し頭の中に響いている。
(うん…たくさん話そう…爽姉に聞きたいこと、聞いてほしいこと…いっぱいあるんだ…)
早く、早く来て…
9年という時間は決して戻ってはこないけれど
9年という溝を少しでも埋めたいから……
早く 来て 俺を
見て
姉さんと僕 5
「みんなにも残ってもらっちゃって何かわりぃな」
あの後、みんな爽姉が来るまで残ってくれると言ってくれたので店先に4人で佇んでいた。
「別にいーって!それに俺もういっかい爽子さんに挨拶したいしさぁー」
(こいつ…本音だな)
「俺も。ケーキのお礼もしてなかったし」
「ケーキ…すげぇ美味かった。」
「そっか!サンキュな!」
ジョーはかなり爽姉のことを気に入ったようだ。
それにしても…誰にでも人当たりが良い安藤はともかく、普段ものを褒めることなんて滅多にしない龍までもがベタ褒めするなんて…!
(貴重なもんを見たな……)
なんて下らないことを考えたりしていたら、小さな鈴の音が聞こえた。
ドキンと高まる心音の一拍あとに振り返るとそこには待ち侘びた人がいた。
「おまたせしました」
そう言ってペコリと頭を下げると解いた髪がサラリと流れ、それと共に少し甘い香がした。
「そんなに待ってないし!それにこいつらも居てくれたから」
「え?あ、私ったら全然気づかなくて…ごめんなさい。…私が翔ちゃんと話したいなんて言ったから……」