long story*12/31姉僕8UP*
□姉さんと僕 8
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ピピピピピ
けたたましい機会音が部屋に鳴り響き
夢の世界にとっぷり浸かっていた意識は
否応なくその温もりから引き剥がされる。
「…………るせぇ」
現実へと覚醒してもなお不愉快なほどに馬鹿でかい音を発し続けるその個体をバシバシと何度か叩いてやると、やっと主人の目を覚さますという使命を果たしたそれはただの時計に戻り規則的に時を刻み始めた。
姉さんと僕8
朝食をいつもの倍以上に食べて
寝癖でボサボサの髪を整えて
シュコシュコと歯を磨いて
お気に入りのスニーカーを履いて
開いた玄関の先には
青い空が広がっていた。
乾いた風を切りながら
自転車で走る道は昨日よりもなぜか
キラキラして見えた。
ハンドルを握る左手をみて思わず頬が緩むのが分かった。
夢じゃない!!
ボールペンで書かれたその文字はお世辞にも綺麗とは言えないけど、俺の気持ちを高揚させるには十分過ぎるくらいの効果があった。