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□Beautiful☆Girl〜おひろめ編〜
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「ぎゃはははははははッ!なにソレ!なにそのカッコ!」
「…うるせーよ。」
それは千鶴も同じようで見慣れたはずの幼なじみの顔と身に纏う衣装のあまりのギャップに腹を抱えていた。
「だってさ!だって!ぷぷ…りゅ、龍が……龍が女の子になってるぅー!腹いてー死ぬぅ〜〜!」
今年あやねと三浦によって用意された真田の衣装は女子用のテニスのユニフォームとポニーテールのカツラだった。
「…だからうるせーって。…しょうがねぇだろ、着ないと罰ゲームなんだし。だいたい千鶴だって…くく」
思わず漏れたような真田の笑いに千鶴は面白くなさそうに頬を膨らませた。
「なんだよ龍!私にはこーゆー格好が似合わないってことかよ!」
「いや…似合わなくはねぇよ…ただいつもの千鶴と真反対だから。つい。」
袖に小さな穴の開いているトレーナーを着ている普段の千鶴と、いま目の前でフリルの沢山付いたお嬢様のような衣装を着ている千鶴の姿のあまりの変わりように真田は込み上げる笑いを抑えられなかった。
「まぁ別にどっちの千鶴もいいけどな」
「??まぁいーけどさ。…あーあ、それにしても爽子と矢野ちん何処にいんのかなー……うがぁぁ!爽子をギューッていたい!じゃなきゃ私の1日が始まんないッ!」
いつものことながら自分のアプローチを清々しいほどサラリと流してくれる千鶴に真田は苦笑を漏らした。
とその時、教室の入り口付近が急に黄色い悲鳴で溢れかえった。
キャーキャーと騒ぐ色めいた声に耳を塞ぎながら千鶴が顔をしかめた。
「なんだぁ?……そういや去年も同じようなことがあったような………」
「…てゆーか、しょーたじゃね?あれ。」
うーんと頭を捻る千鶴の頭を軽く小突くと真田が言った。
『あれ』と指差す方向をやや背伸びをして見ると千鶴は目を丸くした。
確かにそこには見慣れた顔をした友人。
しかし……
「か・か・か・風早がグレたぁー!」
「グレてねぇよ…これ今年の俺の衣装」
男女の波を掻き分けてやっと安穏の地に身を落ち着けた風早がため息まじりにそう言った。
「しょーた…結構似合ってる。」
「そうかな…なんか更衣室行ったら安藤とかに捕まって顔にも色々塗られてさぁ………にしても龍はすげぇ格好してんね…」
「……そこは触れるな。」