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□捧げられぬスケープゴート
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「師匠、ミーを殺してください」

「またその話しですか。
フラン、お前の心配事は
もうなくなったのではないですか?」

「いいえ、師匠。
確かに未来が解放されてからも
ミーは消えてはいませんが、
けれど、絶対に
消えない保証がある訳じゃありません」

「それを言うなら、
人間いつしか死ぬものなのですよ」

「そうかもしれないですけど、
ミーはもう嫌なんです。
例え死ななかったとしても、
もう師匠と離れるのは。
ミーには、そんなの
とても耐え切れません」

「だから、僕に殺して欲しいと?」

「はいー。本当はミー、
今生きているのすら辛いんですよ。
ミーの存在意義だった
師匠の脱獄は終わり、
穴埋めをしていた暗殺部隊にすら
必要とされなくなった。

ミーはこれから
どうして生きていかれましょう」

「お前自身は生きたくないのですか?」

「分かりません。
決して死にたい訳じゃありませんが、
生に執着する理由が
どうしても見つからないんです」

「そうですか」

「そうなんです」



「分かりました、
僕がお前を殺してあげましょう」



「本当ですかー?」

「えぇ、もちろん。
お前が僕に
嘘をついたことがありますか?」

「…いいえー」

「よろしい、
ならば目を瞑りなさい」

「はいー」

「…」

「…」

「…あの、師匠ー?
なんでミーの首を
触ってるんですかー?」

「黙っていなさい、
お前はこれから
僕に殺されるのでしょう?」

チッ。

「…痛っ!」

「おや、存外綺麗につきましたね」

「師匠、ミーの首に
跡をつけたんですかー?」

「フラン」



「飼い殺しという言葉を
知っていますか?」


捧げられぬスケープゴート





望まれぬスケープゴートの続編。
自殺志願者なフランに
キスマークつけちゃった師匠。
基本フランからの好意ばかりで
初めて骸フラらしくなったのに、
なぜか師匠が酷く見える件。

霧師弟は親子が一番ほのぼのしてます。

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