□また明日
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「なあ滝」


「ん〜?」


夕日に染まる帰り道。
いつも通り、俺は滝と肩を並べて帰路につく。



「ほんとに俺のこと好き?」


最近気になっていた疑問。

あんまりそういうのを口に出さないのが滝だ。


分かってても不安になってしまう。


滝は唖然とした目で俺を見た。
そしていつもの不敵な微笑みを浮かべる。


「岳人は俺のこと好き?」


「あ、当たり前だろっ」



「それと一緒だよ」



頭を撫でられた。

満面の笑みは前髪で少し隠れて、それがまた綺麗で。

俺はつい見とれてしまう。


子供扱いは嫌だけど、なんか怒れない。

怒る気分になれない。


女々しいかな、俺。



自分に嘲笑して、滝を見つめた。


こんな感じで、怖いくらいどんどん好きになっていく。




「[また明日]って言うの寂しいかも。
一緒に居る時間はあっという間だしよ」


夕日とは逆の方角を見る。
人工物が反射して眩しい。


「そうかな?」

「ああ」



俺はそう思わないなぁ、と心地いい低めの声が聞こえて、思わず振り返った。



「[また明日会える]って、すごい幸せなことだと思わない?」

「……ッ」



滝はすごい。
俺を納得させることができる。

簡単で深い言葉をたくさんくれる。
道を見失うと簡単なことが分からなくなる。


滝はそんな俺を助けてくれる。


また少し、滝を好きになる。

この少しが集まって、大きな気持ちになる。









それなら今日から、[また明日]が楽しく言える。



二人の時間は短く感じて、あっという間に家の前。



「また明日な、滝っ」

「また明日、岳人」



いつもみたいに目を細めて笑う滝。
手を振りながら限界を開けた。


ドアが閉まる直前、滝の口が動いたのが見えた。


なんて言ったのか、はっきり聞こえた。



不覚にもまた、滝を好きになった。





















─大好きだよ、岳人─




END
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