□君の隣
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「俺、スペシャルイチゴパフェ!」


「俺はブラックコーヒーで」


「畏まりました」



よく聞くこのやり取り。
今、向日さんとファミレスに来ている。



「向日さん、もう少し声の音量を…」


「悪ぃ悪ぃっ!ついテンション上がっちまったっ」



店内に、向日さんが注文したスペシャルイチゴパフェが響き渡り、客が驚いてこちらを見ている。

声が大きいのはこの人の悪い癖。
注意しても誠意さえ見えない。



「というか…、
まだまだ寒いっていうのに、よくそんな冷たいもの食べられますね」


「ばーか。こういう寒い時だから食べたくなるんだよ」



呆れた俺。
嬉しそうな向日さん。



「…………」



外はまだまだ寒い。
冷たく赤い向日さんの指をただ眺めた。


付き合いだしてもう1年。
怖いくらい早く過ぎてしまう。




高校生になったというのに、
あまり会えなくなってしまったのに、



この人は、



いつだって変わらずに俺の隣にいてくれる。


こんな無愛想で生意気な俺なんかと。

正反対の俺達が、
こんなにもお互いに惹かれあうなんて。


それはきっと、

お互いにないものを持っているから。







運ばれたパフェを嬉しそうに頬張る俺の恋人。



そんなあなたと釣り合うのは、俺くらいしかいない。





俺は、


俺の隣にいてくれるこの人が、



向日さんが、





こんなにも好き。





だから、



君の隣にいるのは、




俺しかいない。





ずっと飽きないこの人と、



ずっと一緒に歩んでいこう。




fin
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