□magnet〜ver.日吉〜
2ページ/4ページ




日吉に告白されてもう半年。

最初は何も考えてなかったわけじゃない。

ちゃんと付き合ったあとの周りの反応とか、ちゃんと考えていた。

それでも付き合ったのは、いつのまにか俺は日吉に依存していたからなのかもしれない。


束縛して、もっと必要として欲しかった。


全国大会を目前にして、関東大会の出来事が予想以上に俺の重りになっていた。


誰かに必要とされたい思いが、日吉に向けられたんだと思う。


愛しいなら執着を見せ付けて欲しかった。

それをしなかった日吉は、大人だと思う。


おかしいのがたまらなく好きになる。


同性愛だなんて。


一般じゃない。常識から外れてる。
分かれたほうがお互いのためになると分かっていたのに。

それでも俺は、日吉から離れられなかった。


迷い込んだ心なら、簡単に溶けて行く。


繰り返したのは、あの夢じゃない。

現実の俺たちだ。

触れてから、もう戻れないところまで来ていることに気づいた。


それでもいいと思った。

それほどに、日吉を大切に、必要に思っていた。




 

夜明けがくると不安で、泣いてしまう俺に。



“大丈夫です”



と囁いた



お前も泣いていた……?




 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ