短文。

□それは 甘く 甘い
1ページ/6ページ






―――それはちょっとの罪悪感と



気恥ずかしさと



―――でも



それを忘れるくらいの…










『…っ……んっ…』





ちゅっ、と


軽い音を立てて離れた唇が


また同じように触れて





離れていく





その瞬間はいつも気まぐれで





目を瞑ったままの私には


わからなくて





そのたびにぴくっと


身体が跳ねてしまう





何度したか
わからないほどしているのに





いつも反応してしまう私に


微かに笑みを浮かべているのを


触れる唇が教えてくれる









時々


頬や


鼻の頭に


意地悪く落とされる唇





つい目を開いてしまいそうになるのを堪えて





―――次を待つ





以前、途中で目を開いたら翡翠色の瞳と目が合った





急に恥ずかしくなって


慌てて目を閉じたけど





こうして口づけを交わしている間





ずっと見つめられていたんだ…





と知ってしまえば


もう


目を開くことはできなくなった





背中と腰に回された腕が緩んで


ほんの少し


密着していた身体が離されて





ようやく目を開いた






『真っ赤になっちゃって、可愛いね』

『やっ…。からかわないでください』





言葉以上にいたずらを残す


唇が




もう一度、頬に触れた





からかってなんていないよ、と細めた目は
どう見ても





『嘘。沖田さんの目は正直だから、すぐわかります』





まだ慣れない私を見て





これ以上ないくらい笑ってる







次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ