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□クリスマスキス〜後編〜
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先輩と別れて冷静になると、自分がした事が恥ずかしすぎてクッションに顔を埋めて唸り続けていた。
『う〜、恥ずかしいよ。・・・なんであんなことしちゃったんだろう。』
プリントシールはどうしても欲しかったから、先輩の不意をついた。きっと今日しか出来ないと思ったから。それは昨日から決めていた事だったから何とか頑張れた。
ーーー問題は別れ際のキス。
(自分からなんて、恥ずかしすぎる・・・。)
先輩は嬉しそうに笑ってたけど、変な子だって思われてたらどうしよう。
でもいつものキスより先輩を感じられた気がして嬉しかった。
私だけって言ってくれて嬉しかった。
『あ、そういえばプレゼント・・・。』
キスの一件ですっかり忘れていたけど、プレゼントを貰ったことを思い出した。
バッグから包みを取り出して、それを開けると姿を現したのは手のひらにのるくらいの、ウサギのぬいぐるみ。
『わぁ、可愛い。サンタだ。』
そのウサギのぬいぐるみはサンタクロースの服を着ていた。服はどうやら着脱可能みたいで、ちょっとした興味からその服を脱がせてみた。
『ちょっとごめんね。』
リボンで固定された帽子を外して、マジックテープでとめてある上着を脱がせると、首に何かがかけられていることに気が付いた。
『・・・あれ?これ・・。』
それは華奢なチェーン。このぬいぐるみの付属品かなと思ったけど留め具がある。
『・・・ブレスレット?』
四つ葉のクローバーのチャームが付いたそれをぬいぐるみから外して手につけてみるとちょうどいい長さで。やっぱりブレスレットで間違いはないようだけど。
ーーー・・・僕がいないところで開けて。
ーーー・・・いろいろと・・・思うところが、あるから・・・です。
そんな先輩の言葉を不意に思い出した。これをくれた時の先輩はいつもと違ってなんだか変だった。
・・・もしかしたら勘違いかもしれない。
・・・自惚れかもしれない。
でも先輩ならこういう事をしそうな気がした。
悪戯好きな人だから。
ぬいぐるみに悪戯を仕込んでいる先輩を想像するとちょっと可愛く思えて小さく笑った。
『この子は先輩から頼まれたサンタさんなのかな?』
ウサギのぬいぐるみを一撫でしてそう呟いた。
・・・でもサンタからじゃなくて先輩から貰いたかったな、なんて思ったのは先輩には内緒。
『・・・・・・でもなんでウサギなんだろう?来年ウサギ年だからかな・・・?』
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