想いの行方(仮)
□見えないこたえ
3ページ/5ページ
本当はどうすればいいのか、わかっている。
沖田さんからも言われた。
…でもどれが正解なのかはわからない。
どう伝えたらいいのかわからない。
想いを告げられたことも
そのこたえも
私には初めてのことだから。
しかもその返事はお断りの内容だ。
自分も同じ想いなら『私も同じ気持ちです』とでも伝えればいいのかもしれない。
けど断るときはなんて言えばいい?
参考までに土方さんに聞いてみたいけど…。
(部屋から追い出されるのは嫌だから聞くのは止めよう…)
それにこんなこと他の人に話せない。
となるとやはり自分で考えるほかなさそうだ。
ついため息を吐きそうになった私が代わりに聞いたことは。
「土方さんは止めないんですか?」
「何をだ?」
「…沖田さんのことです」
今までの話の流れで他に誰がいるんだろう?
わかっていて言わせようとしているなら、やっぱり土方さんも意地悪な人だ。
「さっきも言ったな。俺に害はないからな」
それに、と続けた土方さんがちらりと寄せた視線には
「他人の色恋に口出しする趣味はねえんだよ」
この状況を面白がっているようにしか見えなかった。
「だいたい、俺が間に入ったら余計拗れることになるぞ」
「どうしてですか?」
土方さんは新選組の副長で、沖田さんより立場も上で年上で。
確かに土方さんに絡んでいる沖田さんを見かけるけど、それは嫌がっているように見えても沖田さんを本気で拒絶しようとしていないから。
沖田さんもそれがわかっていて土方さんに甘えているように見えた。
だからそんな土方さんが本気で言い含めて、それこそ命令でもしてくれれば私たちの、このたちの悪い鬼ごっこはすぐに終わると思うのに。
そうなれば私も、土方さんも平穏無事な日々が戻ってくると思うのに。
でも土方さんはそうは考えていないみたいで。
それくらい自分で考えろ、と言ったきりもう何も言うことはなかった。
。