想いの行方(仮)

□幸せの在処
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でも僕だけが頑張れば、どうにかなる問題じゃないと、なんとなく思う。
…多分。
…知らないけど。

むしろ頑張れば頑張るだけ、逆効果になるかもしれない。
というか、何を頑張ればいいのか、さっぱり分からない。

その辺に長けていそうなのに、具体的なことは何も教えてくれないでタダ酒を呷る某組長の顔が急に浮かんで、無性に腹が立ってくる。

別に酒を奢るのはかまわないんだけど、だったら何か、有益な情報の一つや二つくらい、くれと言いたくなる。

なぜかこの間は釘を刺されたし。

そんなこと言われなくても、これ以上自分が不利になるような条件を出すはずないじゃない。

かなり乱暴な条件を一方的に持ちかけてみたけど、あれはただのはずみ。
半分は冗談。

一君が勝つと断定されて、悔しくて嫉妬して。
正直、もう半分は、八つ当たりに近かったのかもしれない。

少しは困ればいんだよ、って。

しかも、また左之さんと二人で内緒話をして。
無駄に近すぎる距離に、気が気じゃなかった。

それでも怪我をさせずに試合を終わらせたのだって、もしそうなったら一君を手当したり、心配したりするんでしょう。
そんな姿を見たくなかったからだ。

わざと負ける?

そんな選択肢は最初からない。
誰かに負けた無様なところを近藤さんに見られたくないし、誰より見られたくなかったのは…。

それに何より、剣の腕が誰かに劣ると思われるのが嫌だったから。

もっと強くならなきゃいけない。

剣の腕も、この想いも。

もう二度と、揺らぐことがないように。


「…頑張ろう」

「?何を頑張るんですか?」

「う〜ん……色々?」

「そうですか…。あまり無理しないで頑張ってくださいね」


…うん。

屈託なく笑う君に、悪気はないんだろうなっていうのは分かるんだ。

でもね…。


「…ありがとう。…頑張るよ」


なんとか頷いて、なんとか返事ができた…と思う。

ちゃんと笑えていたかは知らないけど。


先はまだまだ長いのか、ここで行き止まりなのか。
それとも、とうに途切れていたのか。

返事をもらっても諦めきれないこの想いの行き先が、どこに繋がっているのか分からないけど。


その頑張りを受け止めてもらいたい人は、君なんだよ。





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