小説

□ゆめ
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夜中、ガバッ!とベッドから起き上がる


「はぁー……はぁー…」


夢を見た

昔の…幼い子供の時の夢


「……ゆ、め…」


寒くないのに身体が震える
隣には恋人の佐助が眠っている


「………なん、で…………今、に…………なって…」


見なくなっていたのにっ……!
カタカタ、と震える身体を小さく抱きしめ膝に顔をうめる


――子供の頃の自分

――病で右目を無くして、それが原因で母から忌み嫌われるようになった俺

――母に毒を盛られた

――焼けるような痛みと苦しみ

――血を吐き、涙を溜めた目で倒れている俺を見下している母を見る

――紅い唇が緩やかに弧を描く

――母の白い両手が、俺の首に添えられ

――ゆっくりとギチギチと力がこめられていく

――苦しくてもがく幼い俺 声がでない


『お前なんか、私の子供じゃない!産むんじゃなかった!化け物!!私の娘は化け物に喰われてしまった……死ね!お前なんか!死んで当然なんだ!死ね!!』


苦しくて何も考えられないのに…

母の最後の言葉が鮮明に記憶に残っている

――化け物…

―俺はいらない子…


昔は、良くこの夢を見て、一人じゃ眠れなかった
信頼できる、小十郎や成実や綱元や父が傍にいなければ絶対に眠れなかった

それが無理だったら夢を見ないように一睡もしないで朝を迎えることもあった


「………政宗?どーしたの?」

「………ッ!」


隣に眠っていた佐助が起きてきて政宗に声をかける


「わ、………わりぃ……おこし、たか……」

「…………」


声が震える。
…が、何とか平常心を保とうとする政宗…の頬に佐助の手が触れる


「…すごい顔色………それに、震えてるし、冷たい……」

「………ッ!」


頬に添えられていた手の親指が政宗の一つしかない左目の目元を拭う
その行為で、自分は泣いているのだと悟った


「…ぇっ………ご、ごめん……これはっ……」

「……あの人の夢を見たの?」

「…………ッ!」


必死に泣いている理由を捜していた政宗だが、的を射た佐助の言葉に政宗の震えが大きくなる


「大丈夫。ここには俺と政宗しかいないよ……だから大丈夫、ねぇ?」

「………さすけ…っ!」


震える政宗を引き寄せ、ぎゅっと優しく抱きしめ安心させるように背中を一定のリズムで優しく叩く



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