おはなし

□HappyHalloween
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「ハロウィンだな」
「そうだね」
 唐突に、同室者から言われてシーブックは顔も上げずに返事をする。ベッドに胡座をかいて座り、いつも読んでいる趣味雑誌のページをめくりながら、ザビーネの続く言葉を待った。
 同室者のザビーネは、シーブックのいつもの素っ気ない態度に、少し間をあけてから口を開く。
 きっと今年も「ほらよ」とあっさり菓子を投げられて終わるのだろうな…ザビーネは遠くを見つめて半ば諦めた様子だった、が。
「…菓子を……」
「持ってないよ」
 すぐに菓子を受け取る構えをとったが、シーブックの言葉に一瞬だけ時が止まった。
「…ん?」
「だから、持ってないって」
 シーブックは雑誌を読み続けている。
 これは、つまり。
「イタズラをしてもイイということか」
「イイとは言ってない」
 輝く瞳でグッと拳を握るザビーネに、シーブックから冷たい即答が入る。
 まぁいつものことなので、ザビーネは少々ヘコみつつも、隙はないかとシーブックをじっと見つめた。彼は依然として雑誌の文字に視線を走らせており、こちらに見向きもしない。
 …が、その口元をよく見ると、下唇を軽く噛んでいるようだった。
「………」
 ザビーネはわざと靴の踵を鳴らしながらベッドに近付き、下を向くその頬に手を伸ばした。そっと指先が触れて、わずかに表情が揺れる。
「…しかし、身体はイイと言っている」
 頬を撫で、顔を寄せて唇を静かに押し当てても抵抗はない。
「そ、うやって…すぐ、やらしー言い方するの、やめろよ…変態っ」
 少し離れて顔を見れば、頬が薄く朱に染まり、じとっと横目に睨み付けてくる。
 ザビーネは変態呼ばわりを気にもせず、楽しそうにくすくすと笑って今度は額にキスをした。
 シーブックが、持っていた雑誌をぎゅっと握る。
「最近はお誘い上手だな、シーブック」
「誘って…な、い…っ」
 ザビーネの低い声に、シーブックは顔全体を赤くしてそっぽを向いてしまった。
 そんな反応は余計に煽るだけだと何度か言ってあるのに…ザビーネは喉の奥で笑い、シーブックの手に優しく触れてから雑誌をそっと取り上げた。邪魔にならないように、それをベッドのそばにある小テーブルの上に置く。
「シーブック…」
 優しく呼べば、チラリと見てくれた。奥の頬を撫でながら待っていると、そっぽを向いた顔がおずおずと戻ってくる。その瞳には、恥ずかしそうに照れながらも甘い誘惑の色が宿っており、ザビーネはゾクリとした。
 これで誘っていないなどとは、本当によく煽ってくれたものだ。
「では、菓子を持たないシーブックには、たっぷりと悪戯させてもらおうか」
「…っ」
 にやりと意地悪な笑みを浮かべて唇を重ねる。そのやわらかくて心地よい感触を味わいながら、ゆっくりと肩を押して布団に寝かせた。
「ん…」
 少し開いた口に舌を滑り込ませて、深く口付けていく。甘い吐息を感じながら、シーブックの上着に手を忍ばせてめくりあげる。途中で触れる突起を指の腹で撫でてやれば、ピクリと反応を見せた。
「んっ…ん、ふ、ぁ…んん…っ」
 相変わらず、胸だけで良い感度をしている。
 ザビーネは満足そうに微笑み、軽くめくりあげたシャツのボタンを外した。前を開けば両胸の突起があらわになり、ピンと尖ってザビーネを誘っている。
「ぷは…ぁ、ザビー、ネぇ…」
 とろんと蕩けた瞳で見上げられ、またゾクリと下半身が疼く。
 本当にこの天使は全く人を煽るのが上手で可愛すぎて困る。
 ザビーネはその首筋に甘く噛みつき、印をつけながら鎖骨に、胸元に、そしてその先端にと下っていく。
「あッ…ふ、ぁん…っ」
 もう片方は指で摘まんで優しくこねて、口に含んだ突起は舌で撫でるように転がした。
 甘い吐息に抑えるような嬌声が混ざり、つい意地悪をしたくなる。カリッと歯で胸先を噛み、指ではきゅっと強めに摘まんでやる。
「ひぁ!やっ…ザビーネ、ゃ、あ…っ」
 指で挟んだ突起をそのままグリグリと弄れば、ビクビクと身体を震わせながら甘い鳴き声を上げる。
「フッ…相変わらず弱いな、ココが」
「…だって、ザビーネがぁ…いつも、いっぱい弄る、から、ぁ…っ」
「フフ…お前の反応が愛らし過ぎるから、つい、な」
「あっ、あ、も…強くするの、ヤだぁ…っ!」
 いつまでもグリグリと乳首を弄っているので、シーブックが泣きそうな声で抗議する。
 この声と表情もまたそそられる。
「可愛いよ、シーブック」
「ひゃッ…ぁ、あ、やだぁあっ!」
 シーブックがザビーネの服を掴んでグイグイ引っ張るので、まぁそんなところも可愛くてもっといじめたくなるが、今回はパッと手を離してやった。
「はっ…は…」
「まだまだこれからだぞ?シーブック…」
「あっ…!」
 口元の突起をペロリとひと舐めして、そこに何度もキスをする。
「ん、ん…っ」
 唇が触れるたびに、シーブックの身体が小さく跳ねた。
 胸を弄っていた手を下腹部に滑らせれば、そこはすでに硬く膨らんでいた。
「くくっ…胸だけでこんなに硬くして…」
 服の上からやんわりと揉んでやると、シーブックの身体はさらにビクビクと跳ねる。
「さて、こちらもたっぷりと悪戯してやろう…」
 ザビーネは楽しそうにシーブックのズボンを下着ごと脱がし、恥ずかしがる足を開かせた。
 顔を真っ赤にして、蕩けた表情で見つめてくるシーブックに、ザビーネはもう一度微笑んで見せると、心行くまで至福の悪戯タイムを満喫するのであった。


「シーブック…ハッピーハロウィーン」
「んッ…ザビ…ネは…っあ…し、幸せ…?」
 深くにザビーネを感じながら、シーブックは嬌声をこらえて言葉を紡ぐ。
 ザビーネは一瞬目を見開いたが、すぐに細めてやわらかく笑むと、
「あぁ…幸せだよ…」
 そう答えて優しくキスをする。
 それを聞いたシーブックはふわりと笑ったかと思うと、きゅっとザビーネに抱きついてきた。
「は…ぁ…ん、良かっ、た……僕も…幸せ、だよ…」
「…ッ!」
 シーブックの不意な素直ぶりに、ザビーネは思わず固まった。
「あッ…ん、ばか、大きく、するなよ…」
「お前が愛らしいことを言うからだ」
「ひ、や…ッ!や、ぁ…激し、の、だめッ!」
 シーブックの懇願も虚しく、再起動したザビーネはひたすら大きく腰を引いて強く打ち付けるのだった。


 たまには、と間をあけずに甘えてみればこのがっつきぶり。まぁわかってはいたが。
 しばらくはお預けにしよ…と、シーブックは疲れたため息をついて、隣でスヤスヤと幸せそうな寝顔を見せる変態紳士を力無く睨み付けた。
 睨みつつ、なんだかんだで自分もスッキリした気分でザビーネに抱きつく。

「ハッピーハロウィーン、ザビーネ…」



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ハロウィンネタ。
乳首の描写だけならR18にならないと思っているちゃむさんでした。
2014.10.05

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