おはなし

□ざびしー序章
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 鉄仮面がラフレシアで大事をやらかしたりなど色々あったが、まぁなんとか落ち着いて、シーブックやセシリー達はまた学校に通い始めたりするようになって、しばらく。

 ある日の休日に、シーブックはセシリー宅までデートのお誘いにやってきた。

「やってきたんだけど…」
「………」
 準備中だというセシリーをソファーに座って待つシーブック。なぜかその隣には、この家に仕えるザビーネが鎮座。
 ←今ここ。

 シーブックはなんだか納得のいかない表情でソファー前の机に置いてあるティーカップを持ち上げた。待ってる間に、とザビーネが持ってきてくれた紅茶だ。それを一口飲む。…あまり甘くない。
 カップは持ったまま横を見やると、ザビーネと目が合ったので聞いてみる。
「…なんでアンタまで座ってるんだ?」
 ザビーネはフッと笑うと、間を置かずに答えた。
「お客様を待たせている間、退屈させないようにね。話相手にでもなろうかと」
「まったく会話してないけどな…」
 さらりと言うもんだから思わずつっこんでしまう。
 早くセシリー来ないかなーとシーブックがため息をつく、と、ザビーネがおもむろに近付いてきて。
「ふむ…では、スキンシップでもどうだ?」
「…は?」
 と言ってる間に腰を引き寄せられ、カップを落としそうになった。
「ちょあ…!危ないじゃないか!紅茶こぼしたらどうするんだよ、これからデートなのに!」
 カップを持ち直してザビーネを睨み付ける。しかしザビーネはなんだか嬉しそうにニヤついていた。
「…断られたらどうするのだ?」
 言われて、つい固まるシーブック。
「え…いや、だっていま準備中、なんだろ…?あんた呼びに行ったじゃないか、言ってくれたんだろ?」
 そう、ベルを鳴らしたらザビーネが出たので、遊びに連れ出したいことを告げたら「お呼び致しますので少々お待ちを」とこのソファーに案内してくれたのは目前の眼帯男なのだ。ちなみに金髪。で、そのあと少しの間いなくなり、紅茶を持って戻ってきた。
「遊びに行くことは言ってないのか…?」
 不安になってきたのでもう一度尋ねる。
 そんなシーブックの様子を見てザビーネはまた嬉しそうにニヤつくと、質問には答えずに彼が持っているカップをそっと取り上げた。
「ぇ、ぁ…」
 困惑するシーブックの視線が、ザビーネの手にやんわりと包まれ静かにテーブルに置かれるまでのカップを追う。そのあとも視線を戻すのがなんだか恐くて、そのままカップを見つめ続けた。
 こちらを見ていないシーブックの隙をつくように、ザビーネはその耳元に顔を寄せて軽く口付けた。
「…ッ!!?」
 声にならない声をあげるシーブック。そのあとに、
「…っにするんだよ!!」
 声になった声をあげる。
 ザビーネを押し返して少しでも距離を取り、腹立つほどニヤニヤしている顔を睨んだ。
「スキンシップだよ、スキンシップ」
 飄々と言うザビーネ。
「なにがスキンシップだ!こんな急なスキンシップがあるかよ!」
 なんだかつっこみ所がずれている気がしないでもない。
「ではもう少し軽いところから…」
「わーーこれ以上近づくなぁぁぁ」
 とかなんとか騒いでいると、階段を降りてくる足音がひとつ。シーブックには聞こえていないようだが。
「その声…シーブック?」
 きょとんとしたセシリーがリビングに顔を出す。ソファーから声がしたのでそちらを見てみると、よく見知った青髪がいた。なぜか、もうひとつよく見知った金髪もいる。なんだか取っ組み合いをしているように見えなくもない。
 こちらに気付いていないようなので、セシリーはもう一度呼んだ。
「シーブック?」
「!…セシリー!!」
 さすがに気付いて振り向くシーブック。安堵と喜びの表情をしているその目に映った愛しい女性の姿は…
「セシ、リー…?」
 部屋着、というのだろうか、まぁセシリーは美人だから何を着ても綺麗だし似合ってるんだけど、さすがにラフ過ぎるというか、早い話がデートに行くって感じの服装じゃないよな、あれ。
 シーブックの目はそんなことを語っていた。
 そんな彼の心はいざ知らず、セシリーは不思議そうな声で、
「来ていたのね、声かけるくらいはしてよ。…まぁ、私に用ってわけじゃないみたいだけど」
 そんなことを言ってくる。
 シーブックは自分の今の状況を冷静に見直してみた。ソファーの上で金髪眼帯の変態に押され気味で、両手で奴の胸を押し上げかろうじて距離を引き伸ばしている。
 …これは誤解されてもおかしくない。サッと青ざめるのがよくわかった。
「いや、ちがっ…違うんだよセシリー!これは違うんだ!」
 シーブックは慌てて否定した。その間も、隙あらば寄ってこようとするザビーネを押し離して。セシリーの前だというのに…誤解されたらどうしてくれる。
 いや、そんなことよりも、だ。
「なんだよぉ…伝えてくれてないじゃないか!」
 お呼び致しますとか言っておいて、あれは嘘だったのか。
 思い切りザビーネを睨み付けた。ザビーネはまだニヤついている。
「準備中ってゆーから僕はてっきり!」
「私は『時間がかかりそうだ』と言ったのだよ。お嬢様はお取り込み中のご様子だったのでな」
 言って最後にフッと嫌味な笑みを足すザビーネ。シーブックがカッとなるには十分だった。
「こ、の…!眼帯野郎!先にそれを言えよ!」
 ザビーネを押し上げてた手でその胸ぐらを掴む。しかしザビーネは動じず、涼しい顔ではっはっはーと笑っている。心なしか嬉しそうだ。
「あんたって人わぁぁぁ」
「ははは、キャラが違うぞアノーくん」
 そんな二人のじゃれあいを見たセシリーが「仲良いわねぇ」なんて言うもんだから、シーブックがまたカッとなったり、ザビーネは当然と言わんばかりのドヤ顔だったり、それにまたシーブックが腹立てて声を荒らげたり、たり、たり。

 デートのお誘いに来たのに、余計なことで時間を潰したのは言うまでもなかった。


 まぁ余談として…。
 遊びに行くには微妙な時間になってしまったけど、セシリーが気を遣ってお夕飯は近所のレストランで一緒してくれましたとさ。

 無理矢理終わり!



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最初だし、軽めにぬ(*´ω`*)
思ってたより長くなりグダグダしてきたので、むりやり終わらせました。。w
2010.12.02

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