おはなし
□日課:せくはら
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「あー疲れたぁ」
と言って部屋に入ってきたのは、F91…ではなくクロスボーンX1に乗せられてるシーブック・アノー17歳。まだパイロットスーツに身を包んでいる。
「ご苦労だな」
と声をかけてきたのは同室のザビーネ・シャル。
ザビーネに「んー」とだけ返事すると、シーブックは着替えを引っ張り出して風呂の準備を始めた。それを適当に丸めながら「クロボンは接近しないといけないから疲れるよ。早くF91に戻して欲しいなぁ」とかグチる。そして着替えを一式まとめて抱えたところで手を止め、
「…で、あんたはソコで何をしてるんだ?」
「ん?いつもの日課だが?」
「僕の尻をさわることがか」
ここで怒ったら負けな気がする、が語尾が少し震えてしまった。
問答している間もザビーネの眼帯野郎は遠慮なく撫で回してくるので、そろそろ耐えかねたシーブックは身をよじって反転し、後ろに立っていた奴と向き合った。
「飽きもしないで毎日毎日、まったくあんたは…何考えてるんだよ」
「飽きるわけがないだろう」
なんでそんなに自信満々なのかシーブックにはさっぱり理解できなかった。とりあえず、話ながらも奴の右手が絶えずエモノを狙ってくるのでそれを阻止する作業に集中する。
「もー!しつこいなぁ!僕は風呂に入りたいんだよ、かまうなよ!」
「ふむ、なら私も一緒に」
「もう入ってきただろ!」
金髪から漂うシャンプーの香りはごまかせない。
「…背中を流してやろう」
少し止まって何を考えたかと思えば、これだ。
シーブックはムカッとして「いらないよ!」と強く言い放った。
「…前も同じやり取りした気がするなぁ…」
共用風呂の湯銭に顎まで浸しながらシーブックはぼやいた。ぼやきはシャワーで体についた泡を流していたウッソにうっすら聞こえたらしく、「なんか言いました?」と返ってくるとは思っていなかった応答が返ってきた。
「んー…なんでもない…」
湯銭に鼻下まで浸かり、ぶくぶくと音を立てる。
あの金髪眼帯は自分が風呂から戻ってくるのを待ってそうだなぁ、とか、戻ったらまた尻さわられまくるんだろうなぁ、とか、ヘタしたら流されてやっちゃうんだろうなぁ、とか…いろいろ考えていたら気が滅入ってきた。ニュータイプの直感や予感ではなく、今までの経験からいう予測というやつ。
「部屋に戻りたくないなぁ…」
そうしてしばらく唸りながら湯船でぶくぶくして、体を流し終えて入ってきたウッソに心配させたりしたシーブックのそんな一夜。
部屋に戻ったシーブックがどうなったかは、そのうち語られる…かもしれない。
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ザビさんはさらりとセクハラしてくると思います。
ブックたんはだいぶん慣れてきたようです(笑顔)
2010.12.02