おはなし

□ナウさんいないからって調子に乗る34歳
1ページ/1ページ

「今日からここに配属されました、シーブック・アノーです。よろしくお願いします、ザビーネ隊長!」
 ザビーネ・シャル(34)がまとめる小隊にシーブックが来たのは、出撃の少ない穏やかな日が続いている時期だった。
 ふわふわの青い髪を揺らして、純粋で意志の強そうな瞳でまっすぐこちらを見ている。
 これが、奴の……キンケドゥの10年前。
 生涯のライバルとなる彼のまだ初々しい姿を見るのは、なんだかくすぐったい気分だ。
「ザビーネさん?」
 見つめながら感慨に浸っていたら、シーブックが小首を傾げて不思議そうな顔をする。
 そうか、まだ自分に出会う前のシーブックなのか…ザビーネは思わずフッと笑みがこぼれた。
「いや、すまない。ザビーネ・シャルだ、よろしくな、シーブック」
 手袋を片方外し、そちらをシーブックに差し出せば、少し緊張した様子でその手を握ってくれた。
 それにしても、この愛らしさは10年経っても変わらないものなのだな、とザビーネは目を細めた。

 大きな出撃もなく幾日か過ぎた頃。
 編成のことで部屋に呼び出したときに、ベッドに押し倒して唇を奪った。
 日頃から肩を抱き寄せては必要以上に密着し、距離によってはシーブックがしどろもどろになることもあった。
 もっと警戒しているかと思ったが、なんの疑いもなくセクハラ隊長の部屋を訪れ、すすめられたベッドに腰掛けるとは、信頼があるのか単に無防備なのか…後者の場合はかなり心配だ。私が守ってやらねば、とザビーネは心に誓った。
 誓いながら、シーブックの戸惑う舌を絡め取って吸い付き、深く口付けていく。
「んんッ…ふ…ん、ん…は、ふ…ぁ…んっ…」
 鼻から抜けるような甘い声がこぼれる。この甘さも10年経っても変わらないようだ。
 突然のことに混乱しているらしいシーブックは、どう息をしていいのかわからないようで、しばらくすると苦しそうにもがき始めた。
「すまない、つい夢中になってしまった」
 唇を離し、ニヤける頬を抑えることなく詫びる。
 解放されたシーブックは荒く深呼吸を繰り返し、何か言いたそうな表情をしているが、息がなかなか整わずそれどころではないようだ。
 可愛いな…ザビーネは微笑してシーブックの頬にそっと口付ける。シーブックがビクッと緊張に身を強張らせるが、抵抗する気配はない。
 顔を離して愛しそうに見下ろしながら、まだ少し荒い息をしている唇を指先で優しくなぞった。
「ザビ、ネ…たい、ちょ…?」
「ん?」
 上体を起こしながら甘やかすような声で返し、シーブックの言葉を待つことなくシャツのボタンを外していく。
「ゃ…たいちょ…なん、で…っ」
 さすがに身じろいで抵抗を見せるシーブック。弱々しくザビーネの手を掴んで止めようとしているが、ほとんど力が入っていない。
 ザビーネは思わず喉の奥で笑った。
「シーブック…ずっと見ていたのだ、お前が入隊したその時から…」
 欲しかったのだよ、10年前のキンケドゥ……声には出さず、ライバルであり愛しい恋人でもあった彼の名を呼ぶ。
「…っ」
 シーブックは顔を赤くして、なんだか満更でもない様子だ。ザビーネの手を掴む手にきゅっと力を入れて、恥ずかしそうに唇を真一文字に結んで視線を外した。
 その様子に、ザビーネは思わず優しい笑みがこぼれる。そのままボタン外しを再開するが、シーブックの手は添えられているだけだった。
 ボタンをすべて外し終えたところで、微かに震えるシーブックの手を取ってベッドに置く。シーブックは大人しくそれに従い、掴んでいた手が離れてもそのままだった。ゆっくりとシャツが開かれていくのを黙って見守る瞳は淡く潤んでいる。
「……っ」
 胸元に空気が触れてシーブックが息を飲む。
 ザビーネはツンと尖った胸先を片方、指先でそっと撫でた。
「…ッ」
 シーブックの肩がピクンと跳ね、ぎゅっと目が固く閉じられる。
(まぁ初めてなのだろうな…愛らしい反応だ)
 もう片方も同じように優しく撫でたあと、二つの突起を同時に撫で回す。
「ふっ…んん…っ」
 シーブックは小さく震えながら淡い刺激に堪えているようだ。そんな姿を見せられると、どこまで耐えられるのか…イジワルしたくなるではないか…と変態思想の三十路貴族は、撫でていた胸先をきゅっと摘まんだ。
「んんッ…!」
 ビクッと跳ねた身体は、突然の強い刺激に緊張して固くなった。
 そのままグリグリとこねて両方の乳首を同時に弄り回すと、シーブックから苦しそうな、しかし甘さの混じった熱い吐息がこぼれてくる。
「くく…我慢はよくないぞ?シーブック」
 ザビーネは片方の手を胸から離し、ベッドに肘を沈めながらシーブックに顔を寄せて唇を重ねると、堪えて固く結ばれているところに舌を割り込ませた。歯列をなぞり、開くよう促すと、おずおずと口を開けてザビーネの舌を受け入れてくれた。
 この初々しさ……出会った頃のキンケドゥ…いや、シーブックを思い出す。あの頃と何も変わらないたどたどしいキスに、ザビーネは喜ばしさと異様な興奮を感じた。
 ゆったりと舌を絡めながら、胸に実る愛らしい果実を指先で弄り回す。
「は、ふ…ぅん、んん…っは…は、ん…ぁ、ふ…」
 ささやかな抵抗のつもりなのか、シーブックに寄せた肩をそっと押し上げてくる。しかし、やはり力がほとんど入らないようで、ザビーネの軍服を緩く掴むので精一杯のようだ。
 ザビーネは淡い笑みを浮かべると、弄り回す乳首をピンッと弾いた。
「んんッ!」
 ぎゅ、と軍服を掴む手に力が入る。
 ザビーネはもう一度ピンッと弾き、その指先で軍服を掴むシーブックの手を撫でた。そして優しく掴んで軍服から引き剥がすと、互いの指を絡めるように握りながら、愛らしい部下の手の甲をベッドに押し付けた。
 そのままねっとりとシーブックの舌先に吸い付き、さらに深く口付けてじっくりと堪能する。
「んっ…んぅ、はぁ、っは…ん、んっ…」
 慣れないキスを、しかも息のしづらいほど深い口付けがしばらく続いたおかげで、シーブックが苦し紛れにザビーネの手を握り返してきた。
 まるで恋人のようにしっかりと握り合う手に、ザビーネは笑みがこぼれる。これから、もっと恋人らしく、より深く愛し合う仲へとなる未来に。
 焦る気持ちを抑え、ザビーネはたっぷりと時間をかけてシーブックの身体中を愛撫した。
 とろとろに蕩けた顔も吐息も、すべて愛しいと感じた。
 自身の熱をこの愛しい身体に埋め込みながら、何度も愛をささやいた。

 そうして、ザビーネは愛しいキンケドゥの10年前を手にいれた。

 チームミーティングが終わり、ザビーネはすれ違い様のシーブックに甘く耳打ちした。
 シーブックの顔が瞬時に赤く染まり、恥ずかしそうに俯いたあとに小さく頷いたように見えた。
 愛らしいな…ザビーネは微笑して、シーブックの肩をそっと叩いてから先に自室へと向かった。
 少し経って、遅れてやってきたシーブックをベッドに招くのは、もはや日課となっていた。そのまま共に眠るので、最近のシーブックは自分の部屋で寝ていない。今ではザビーネの部屋で過ごすことの方が多いだろう。
 今日も今日とて、ザビーネはシーブックを自室に呼びつけて、抱き締めたりキスをしたりとゲロ甘に可愛がる。まぁキンケドゥのときにもしていたコトだが。
 シーブックも満更ではないようで、むしろザビーネの愛をわりとしっかり受け入れてくれていた。
 今、ザビーネはシーブックを後ろ向きにして膝に乗せ、椅子に深く座って本日のミーティング資料を読み合わせながら、片手を彼の胸元に這わせているのだが、特に嫌がる様子はない。
 固くなった突起を服の上から撫でたり摘まんだりすると、甘い吐息をこぼして身じろぐ。
 少しして、ボタンを半分ほど外して中に手を滑り込ませ、ぷくりと実った果実を優しく撫でた。
「んっ…は、ぁ…ザビーネ、たいちょ…っ」
「二人のときは、"隊長"はいらんと言っただろう?」
 きゅ、と摘まみ上げる。
「ひゃッ…!」
 まだ開発中だが、元々高い感度なのもあってイイ反応を見せてくれる。
 このまま緩急をつけて乳首を弄り回してやると、甘い声が漏れ始める。
 昨日はロッカーで着替え終わったシーブックの背後から、両方を同時に弄りまくったのだ。きっと昨日の今日で胸の感度は上がっているはずだろう。
 あの時の、人が来るかもしれない焦りと羞恥に、顔を真っ赤にして涙目で甘く鳴くシーブックの姿は、本当にそそられたものだ。
 愛しい子を、再びこの手で仕立てていけるとは、なんという僥幸。
 これからが非常に楽しみだ……クックッと喉の奥で笑うザビーネは、シーブックを愛しそうに抱き締め、低い声で愛をささやく。
 もう一度…あの時は届けられなかった言葉を。深い海色の髪が揺らぐ姿を、あの微笑みを、思い浮かべながら。



-------
ムリヤリ終わらせる。。
ザビーネさんのこと知らないで
純粋にザビーネ隊長を慕うブックたんはきっと可愛い。
2016.05.18

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ