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□お祭り編
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もう夏も終わりではあるが、神社などの祭りは関係なく開催される。
「と、いうわけで、お祭りデートしようシーブック♪」
大変楽しそうに弟の部屋にノーノックで入ってきたキンケドゥお兄ちゃんの腕には、浴衣が掛かっていた。
椅子に座り机に向かって書き物をしていたシーブックは、顔を上げてそれを一瞥し、一瞬でいろいろ想像できたがそこはつっこまず、
「まぁいいけど」
とペンを置いた。
兄の腕に掛かる浴衣を手に取り、手早く着替え始める。
それを見たキンケドゥはウキウキと自分も浴衣に着替えた。

「ん〜〜やっぱ浴衣姿も可愛いなぁシーブックは〜♪さすが俺の弟〜」
「どーも」
テンションMAXで弟の浴衣姿をガン見するキンケドゥお兄ちゃん。
興奮で声が高くなっている兄とは真逆に、シーブックはさらりとクールに返して視線を落とした。しかし、チラリと盗み見るように兄を視界に入れると、照れたように頬を染める。
…キンケドゥだって、よく似合っている。すごく、かっこいい…
そんな言葉は心の中だけに留めて、財布を巾着鞄に入れた。
「で、どこのお祭り行くんだ?」
「駅の裏にある神社だ」
デレデレと気の抜けた笑みで応え、俺のもーと自分の財布をシーブックに渡して巾着に入れてもらう。
「リィズは?」
「残念ながらお友達と行くそうだ。妹の可愛い浴衣姿も拝みたかったんだけどなぁ…浴衣は着ないと断られてしまったよ」
「そうか…」
シスコン兄貴'sは残念そうに部屋を出ると、リビングにいる可愛い妹に挨拶をしてから、外に繰り出していくのであった。


神社が見えてくると、入口からすでに人が溢れていた。
「わー、人いっぱいだね!中混んでそ〜」
シーブックが興奮気味に声を上げる。
後をついていくキンケドゥは、はしゃぐ弟を微笑ましく(ヨコシマな眼差しで)見守っていた。
「さーて、何から食べようかね〜お兄ちゃんはお腹すいてしまったよ」
「僕も。焼きそばでも食べようよ」
「いいねぇ♪」
兄弟仲良く神社に入っていき、なかなかの人混みに押されながら出店を物色する。
焼きそばだけでなく、お好み焼きやたこ焼きといった定番も買い、キンケドゥはイカ焼きに心引かれて片手に装備した。
ここまでを腹に収めたら、広場の踊りや神輿には目もくれず、りんご飴や綿あめといったスイーツにも手を出し始める。
キンケドゥお兄ちゃんはもちろんチョコバナナを見逃さない。
「シーブック、はい♪」
「ありがとう」
「いいか、この表面のチョコを舐めてから食うとうまいんだぞ」
適当なことを言ってくるが、素直な弟は「へぇ」となんの違和感もなく受け取って、バナナの先端あたりに舌を這わせた。
キンケドゥは目を見開いて小さくガッツポーズ。
さすがに気付いたシーブックは頬を染めて横目に軽く睨みつけると、バナナを口に含んでチョコを舐めた。
「おぉ!」
お兄ちゃんは嬉しそうだ。
シーブックはさらに深くバナナを口内に押し込み、キンケドゥのキラキラとした眼差しを受けて………ガブリと真ん中あたりから噛みきった。
「うッ!?」
ナニをどこまで連想させていたのか、キンケドゥは思わず濁った声を上げた。
シーブックはしれっと美味しそうにチョコバナナを咀嚼する。
無意識に前屈みになるキンケドゥは弟の肩を支えに踏みとどまり、すぐに立ち直ると眉間にシワを寄せたまま遠くを見つめた。
「あービックリした…危うくキン子ちゃんになるとこだったわ」
「どこまで深く想像してたんだよ…」
呆れ半分の弟の笑みに、キンケドゥは「そりゃもうドップリ」と答えて胸を張った。
「よーし、次はフランクフルトだなっ」
「懲りないなぁ」
楽しそうなキンケドゥに、シーブックも楽しそうに笑う。
そうして仲良く目的地に向かって人混みをかき分けるようにして進んでいたが、人の量が増したのか思うように進まなくなってきた。
気付けば掛け声と共に小さな神輿が神社の敷地内を練り歩いており、それを見る人だかりが出来ていた。
「あぁ、おみこしか」
顔を上げて人混みの奥を見やったキンケドゥは、はぐれないようにシーブックの腰を抱き寄せた。
シーブックは大人しく兄に寄り添って同じ方向を見ていたが、不意に尻を撫でられてビクリと跳ねた。
「ちょ…っ、キンケドゥ!?」
人混みで目立たないのをいいことに、キンケドゥの手が尻を撫でて揉み回してくる。
「ん、もぉ…っ」
シーブックは仕方なさそうに深くため息をついて、兄に引っ付いた。
キンケドゥはニコニコしながら弟をさらに引き寄せて自分の前に後ろ向きで立たせると、浴衣の合わせ部分から手を忍ばせて太ももの内側をなでなで。
くすぐったそうに小さく身じろぐシーブックに気をよくしたキンケドゥは、下着の上からやわらかく揉んでイタズラをエスカレートさせる。
「んっ…ん、ふ…っ」
下着越しに先端をグリグリと押されて、シーブックはピクンと身体を震わせた。
「シーブック…お兄ちゃんのフランクフルト食べようか」
背後から耳元で甘くささやかれ、全く甘い言葉ではないのだが、シーブックは瞳をとろんとさせて頷いた。
キンケドゥは嬉しそうに笑うと、シーブックの手を引いて人だかりを抜け、人気のない茂みを探した。
この時間は大抵の人が神輿を見ているので、出店ゾーンを離れれば大体どこも閑散としている。
しかし同じ考えのカップルもいるようで、茂みを進むとなん組かの先客を見つけた。
「出遅れたかぁ…」
キンケドゥはちょっぴり悔しそうだ。
シーブックは火照った身体をもじもじさせながらキンケドゥにしがみついた。
その身体を抱き寄せ、軽く尻を撫でながら額にキスを落とす。
「お天道様の下で恥ずかしそうにするシーブックが見たかったけど…他の連中にシーブックの可愛いトコ見せるのはヤだしなぁ」
まぁ外でヤると蚊に食われまくるからな、とキンケドゥは進行方向を変えて歩き出した。
「こう暗いとシーブックの浴衣姿も堪能できないし。帰るか」
手を引かれるシーブックは、足がもつれそうになりながらも頑張ってついていく…が、どんどん熱の上がる身体に息が荒くなり、胸の鼓動がうるさいほど体内に鳴り響く。
「っ…キンケドゥ…僕、もう…がまん、できない…」
「むむっ」
振り向けば、息を荒げて蕩けた瞳の弟が色気を撒き散らしながらこちらを見ている。
薄暗い中だからこその色っぽさに、どっくーんとくるキンケドゥお兄ちゃん。
何よりも、こんな状態のシーブックを見せながら歩くなんて。ダメ絶対!
「よし、ホテル行こう」
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