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□Short shine
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「サレ、花火しようヨ♪」

そう言って、ぼうやは僕を連れ出した。



「花火なんてヤダなぁ…」
「なんで?」
「まだ残ってるのに火が消えちゃうじゃないか。
命みたいに」

僕は暗い考えでぼうやに言う。

「サレの命でも重なって見えるの?」
「別に…。
なんでもないよ、僕らしくもない
忘れて」

ヒトがヒトを想っていると、ひどく嫉妬する。
僕には、大切に想ってくれるヒトが居ないから。
いや
居ない方がいいから。

「サーレ?ボクを忘れてるでしょー」

覗きこんでくるぼうやにハッとする。少し呆けてたみたいだ。

「なんのこと?」
「隠さないで。ボクを忘れてたでしょ」

忘れてはいない
ただ、キミは…関わってほしくない。
僕はいつか身を滅ぼしてしまうだろうから。

「消えたならつけてあげるヨ
ボクの炎で…」

後ろから僕に抱きつくぼうや。安心してはならないのに、意思に反して安心してしまう。

「跡形もなく焼きつくすの?」
「まさか」

その言葉の真意は、闇に消える。


一人はイヤだ。
けれど君は悲しませたくない
だから…


突き放さなきゃ、ね…
 

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