Your expect language

□inner heart
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サレ

サレ、

サレ………っ


―――――嫌ッ…




【Your expect language-inner heart】



「ぼうやー、ぼうやどこだい―?」

僕は城の中で迷子を探していた。

数日前、僕の行動により心を閉ざしてしまったマオぼうや。
近付くのを怖がる事もあるが、同じ部屋で同じ空間にいるのが一番良いらしく、いつもベッドの上で枕を抱えている。
最近は枕の代わりにぬいぐるみをやった気がする。

…そのぼうやが、今日はまだ来ておらず、心配になって探しに出た、というわけだ。もちろん、入れ違いでも大丈夫なように、鍵は開けっ放しで、暇そうだったミリッツァを部屋に残して。

「ぼうやー?
ん―…困ったな」

あらかた探してしまっているはずだが…。

「…ん?」

その時、壁の向こうを何かがひょいひょいと通っていった。

「……」

僕は無言でその後を追い、

むんず。

とそいつを捕らえる。

「わゎっ」

いきなり宙に浮いてビビっている小柄のガジュマ。
僕はそいつを見、口を開く。

「…お前、情報屋だね?」
「えっ、いや…え〜と」

その問いに、ガジュマ…男は、どうしたものかと言葉を濁す。

「脅えるな。陛下の前には出さないし、殺しもしないよ。…情報を分けてくれればね」
「は…、はぁ」

男は呆気にとられた表情で僕を見る。

「…で、何用で?」
「マオぼうやがどこにいるか知らない?」
「マオぼうや…ってあの赤髪の」
「そう」

そいつはしばし考え込んだ。
どこだったかな…と呟いているのだから、有力な情報はあるのだろう。

「…あぁ!
確か倉庫あたりに行ってて」
「倉庫?」
「荷物持ってましたぜ」

仕事か?

「それ以上は?」
「知らないでさー…」

他の事に夢中だったんだな…まあいいだろう。

「そう。
じゃ、見つからないようにね」
「へい」

男はととと、と逃げていった。

「倉庫…か」



倉庫は焦げていた。
荷はばらまかれ、床は焦げ。

――その中心に、炎をまとい座っているマオぼうやが居た。

「…どうしたの…ぼうや」
「……」

フォルスの暴走にしては小規模で、普通に使ったにしては大規模だ。

ぼうやがゆっくりと顔だけこっちに向ける。相変わらずその顔に表情は無い。

僕だと認識し、喋れないので状況を教えようとしたのか…

隠れていた肩が見えるように、体の向きを変えた。
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